fashion
2016-08-05
「着る」をもっと心地よく by 吉田けえな
#13 モノ作りの背景を知ればファッションがより楽しくなる

前回のコラムでは、長く大事にされてきたヴィンテージの中で、いわゆる1点もの、自分だけのオリジナルなお気に入りを探してみては?とお話しましたが、今回は逆の視点からみたお話です。

私はここ数年、やっと少しジュエリーに興味を持ち始め、これ!というものに出逢ったときは、できるだけ逃さないように心に決めています。その決め手は「いつか自分の子供に譲りたい。それまで長く大切に使い続けたいと思えるものかどうか」です。最近は、洋服も少しずつ良質な物を集めて丁寧に使っていけたらと、そんな風に感じ始めていますし、ヴィンテージでお気に入りを探すのも、そういった考えがあるからです。長く丁寧に愛されてきたものは、きっとこの先も長く楽しめる相手になるのではないだろうか、そんなふうに思います。

さて、そんなことを考えているとき、東京で開催されたルイ・ヴィトンの軌跡を辿る展覧会にお邪魔しました。1000点のアーカイブや職人の実演と共にお披露目された内容は素晴らしく、私の中での同ブランドのイメージは思わずぐぐぐっとあがりました。

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下の写真のように、これまでに作られた鍵のシリアルナンバーが1つずつ保管され、いつでも復元可能になっていることや、使い勝手がいいように自分の持っている鞄のロックを同じ物に統一してもらうことができることも、この展覧会で初めて知りました。

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このように物作りの背景を知ることで、自分の使う物により愛着を持ち、長く大切に着よう、使おう、子や孫にも受け継いでいきたいと思えるのではないでしょうか。

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残念ながらルイ・ヴィトンの展覧会は既に終了してしまいましたが、今回オススメしたいのは、先日京都で開催され話題を呼んだ『ポール・スミス展』。東京でも始まり、秋には名古屋にも巡回予定です。

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今年で70歳ながら未だ活躍を続け、世界70カ国で愛される世界的人気デザイナーであるポール・スミス氏のクリエーションの秘密に迫る同展では、彼の作り出す商品の背景や想いを感じとることができ、その洋服への愛情も感じとっていただけると思います。

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そして、何より常にカメラを持ち歩き、気になるものはシャッターを切るという彼の目を通した映像を見ることで、日々のなんでもないものがインスピレーションソースになりえることを、ぜひ体感していただきたいです。

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写真のような洗濯ばさみの色の配列ですら、彼にとっては想像力の源なのです。私は彼の展覧会で、洋服の色合わせやコーディネートのポイントは、自分が目にするもの全てからインスパイアされ得るいう発想を学びました。

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何気ない毎日の中で、気になる好きな色の組み合わせがあったら、ぜひあなたのファッションのコーディネートに取り入れてみてはいかがでしょうか。そんな風に考えていくとファッションをますます楽しんでいただけると思います。ぜひ同展に足を運んで、新しい刺激を沢山受けてみてください。

●ポール・スミス展
http://paulsmith2016.jp/