fashion
2017-01-16
「着る」をもっと心地よく by 吉田けえな
#15 大切な人へのギフトは自分で編む手作りストールを

私の原風景。家にミシンがあり、母が私たち姉妹の洋服やお稽古バッグ、母自身の洋服などを作っていた姿が思い浮かびます。そんな過去の体験が私がファッションを好きになったり、仕事としてファッションの世界に進んだりしたきっかけの1つだったのだろうなと今になって感じています。洋服が簡単に安く手に入るようになり、街に当たり前にあった手芸屋さんはどんどんなくなっていて、ミシンがある家庭も少なくなりました。

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野菜は売られている商品についている生産者の写真をみたり、ファーマーズマーケットなどで生産者さん達と話す機会があったり、最近増えている家庭菜園で生産される過程を知る機会はあるけれど、洋服の作り手と知り合ったり、出来上がるまでの過程を知る機会は圧倒的に少なくなったように感じます。

以前このコラムでご紹介した展覧会などで物作りの過程や背景を知れば、物に対する愛着はさらに湧いてきますし、さらに、自分や身近な人が作ってくれたものは、その手間暇や愛情を考えると余計に愛しく感じます。ですが、アパレル以外の仕事をしている友人たちの中には、ミシンは学校で習ったけれども、どうしても苦手意識があるという人も少なくありません。使い慣れていない人にはいきなりミシンは難しいと感じるかもしれません。が、そんな人でも気軽に始められる物作りがあります。それは、編み物です。編み物は糸と編み針さえあれば、もっといえば糸と指さえあれば簡単にはじめられます。

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今回ご紹介する、昨年秋にスタートしたニットブランド「AND WOOL(アンドウール)」では、毛糸はもちろん、編み機で作るストールなどの製品も試験的に販売しています。特に人気なのが、ご家族、お友達へのプレゼント用にカシミア糸と編み機を使って自分で編んでいただくストールだそうです。

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編み機の準備や調整、最終仕上げなどはスタッフがやってくれるので、編み機に触れるのが初めてのお客様でも肌触り抜群のカシミア混のストールを簡単に編むことができ、自分が作ったというエピソード付きでプレゼントできる。しかも、見た目の仕上がりが手作りとは思えないクオリティということもあって非常に好評だそうです。

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お金を出せば買えないものはない時代である今、あえて手編み(または機械編み)に挑戦して、心のこもったプレゼントを贈ってみてはいかがでしょうか。なんでも買える時代だからこそ、誰かが自分のためを思って時間をかけて作ってくれたプレゼントというのは嬉しいものです。もちろん自分用にも、あの時こんなことを考えながら作ったなぁとか記憶に残り、大切に長く使いたいアイテムになることは間違いなし。今年の目標がまだ決まっていない方がいたら、「なんでもいいから手作りに挑戦してみる」ことをオススメします。

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●AND WOOL
静岡県島田市湯日1124-1
tel. 0547-54-4492
http://www.andwool.com/
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