廣森知恵子のビューティトーク
2015-10-05
#06 大人美のための正しいヘアケア

日々、多くの女性とお会いしますが、一番初めに目が行くのがメイク、次に目を向けるのが髪です。メイクはとてもきれいにされているのに、髪がパサパサだったり、ペタッとしてハリがなかったりすると、とても残念に思います。少し前に、某シャンプーメーカーがリサーチしたデータの中に、〝つやのある髪の人と、つやのない髪の人を後ろ向きにした状態で第三者に年齢を予想させたら、つやのない髪の方が平均して5歳は老けてみられた〟というものがありました。まさに、髪の印象ひとつで若々しく変わることができる、ということを証明しています。そして、髪であれば今日からすぐに変えることができるのです。

私自身、髪のつややヘアスタイルをほめていただくことが多いのですが、洋服と同じくらい気を遣っているのがヘアケアです。ただ、以前は枝毛が多く決して良い状態とは言えませんでした。そこで、正しいシャンプーの選び方、髪の洗い方、乾かし方などについて徹底的に学び、それを続けることで、今では「髪がとてもきれいですね」と褒められるようにまでなれたのです。

正しくできていますか? シャンプーでの洗い方

多くの人が、間違った方法で髪を洗っているように思います。洗髪の最大の目的は、頭皮を清潔に保つこと。髪を濡らす前には必ずブラッシングで頭皮の汚れを浮き上がらせて、髪のからまりをほぐすことから始めましょう。続けておこなうのが「予洗い」です。これは、お湯だけで髪全体と頭皮をしっかりすすいで、ほこりや整髪剤など汚れを洗い流すやり方ですが、この段階で髪の汚れの7割以上を落とすことができます。

そして、シャンプーは500円玉程度の量を手に出し、指先に少しずつ取って頭皮につけていき、髪全体にのばしてしっかり泡立てます。生え際から頭頂部へ指の腹でマッサージするように洗い、決して爪を立てず、常に指の腹でマッサージするように洗うのが基本。皮脂量の多い前頭部や頭頂部は、特に丁寧に洗いましょう。そして、すすぎ残しがないようにしっかりとすすぎ、仕上げに毛先にだけコンディショナーをつけて洗い流します。

シャンプーの選び方ですが、髪と頭皮のことを考えて私が行きついたのが、石けんシャンプーです。石油系の界面活性剤を含まない植物由来で、赤ちゃんも使えるくらい地肌にやさしいのが特徴。頭皮のうるおいを守りながら、しっかり汚れを落とし、洗った後のさっぱり感がとても気持ちいいのです。この洗い方を続けてから、枝毛のないつややかで美しい髪を保つことができています。

1私が長く愛用している、髪と頭皮の健康を守る石けんシャンプーのスクワランシャンプー/髪につやとなめらかさを与える、スクワランコンディショナー(ハーバー研究所)

髪をいたわる日々のケアのポイント

●正しいドライヤーのかけ方

つやのある髪を保つために、ドライヤーのかけ方は重要です。シャンプー後、びっしょり濡れた髪はキューティクルが浮き上がっていて、ダメージを受けやすくなっているので、いきなりドライヤーの熱を与えるのは止めましょう。充分にタオルドライをしてからドライヤーをあて、吹き出し口は髪から20㎝ほど離し、一点に熱が集中しないよう、ドライヤーを大きく左右に振りながら乾かします。髪が乾くと髪の表面温度が急激に上がり傷みやすくなりますから、乾ききる前に冷風に切り替えるのがつや髪のポイントです。

●頭皮マッサージのすすめ

また、頭皮マッサージは頭皮の血行を促し、毛根に血液を送りやすくしてくれるので、ハリ、薄毛対策としてとても有効です。私は、髪を乾かす前に美容オイルを1〜2滴指先に取り、指の腹に広げてから、地肌に揉み込むようにマッサージしています。この時、頭皮がかたくなっている部分はやさしく揉みほぐしておくといいでしょう。頭皮は顔の皮膚とつながっていますから、マッサージによって額の皮膚が引き上がり、顔全体のたるみ予防にもなります。ぜひ習慣にしてください。

2頭皮マッサージは、髪と頭皮の健康維持におすすめですが、顔のたるみやシワ対策にも効果的です。

●髪の健康を考えたグレイカラー(白髪染め)

白髪染めをする際に、髪を染めるカラー剤がどんな成分でできたものか、まで考えたことはありますか? 一般的な美容室でおこなわれる白髪染めは、アルカリ性の薬剤を使い、一度キューティクルをはがして強い成分を髪の内部に浸透させ、元の色(メラニン色素)を脱色(ブリーチ)して染めます。以前、私もこの方法で白髪染めをしていましたが、このとき髪のつややコシがみるみるなくなっていくのがとても気になっていたのです。

そんな時、弱酸性のカラー剤を使い、脱色はせず、色素を髪の表面(キューティクル)だけに吸着させ、髪のたんぱく質を壊さずに穏やかに作用する「弱酸性カラー」という方法で白髪染めをおこなっているサロン「ベル・ジュバンス」に出会いました。私は家から近い場所にある地元のサロンに23年も通っていますが、今の私の褒められる髪質は、このサロンとの出会いがあってこそだと思っています。

髪はケア次第で意外と早く結果を出してくれるので、張り合いも出ます。つやとコシのある髪で、マイナス5歳を目指してみるのもいいですよね。

「37年の美への思い」をまとめた本が出版されました

私は美容家としての活動を始めて、今年で37年を迎えることができました。その間、多くの人と出会い、学びながら得た美容の知識や技術、経験をより多くの女性たちに伝えたい、そんな思いで綴ったものが、この度1冊の本になりました。

おしゃれから食事、睡眠、エキササイズ、ボディケア、スキンケア、メイクなど美しく健康に生きるためのメソッドや、大人の女性としての心得、チャーミングな年齢の重ね方、人とのつながりの大切さなど心のもち方など、私がふだん感じている思いが詰まっています。

「もっと輝きたい」「変わりたい」と思っているけれど、何から始めていいかわからない人、きっかけがつかめないで立ち止まっている人、日常でちょっとつまずいてしまった人、そんな方はぜひ手に取っていただき、パラパラとめくり、「ああ、こんな解決策があったのね」と、思っていただければ幸いです。そして、素敵な笑顔の女性たちがますます増えることを願っています。(文=土屋綾子)

3大人の女性の美しさや、生き方をまとめた「大人美スタイル」¥1.400(+税)NHK出版