私は子どもの頃、あまり体が丈夫ではありませんでした。そんな私に母がよく「女性は絶対に体を冷やしてはいけません」と言っていたのを思い出します。冷えの正体はズバリ、血行不良。血液は酸素や栄養素を体中に送り届ける重要な役割を担っていますが、それが滞ってしまうと、体全体の機能低下につながってしまいます。特に女性は、体が冷えることで婦人科系機能が低下してしまい、ホルモンに影響を及ぼすこともあります。別名美肌ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」を正常に分泌させるには、骨盤周辺の血流をスムーズにさせておくことが重要ですから、寒い日の薄着は禁物です。
朝、目覚めたときに自分のおしりの側面を触って、冷たく感じたら〝冷え〟ている可能性があります。他にも、目の下にクマができやすい、唇や舌の色がくすんでいる、肩や首が凝っている……、そんな方も冷えを疑ってみてください。
特に冷やしてはいけない部位があります
●おなか、腰まわりを温める
骨盤周辺は、女性にとって重要な機能が密集している場所です。冷やすとそれらの機能低下につながりますので、なるべく冷やさないように心がけましょう。骨盤周辺を温めておくと、美肌ホルモンである「エストロゲン」の分泌を促すことができるので、美肌づくりにおすすめです。できればおへそまで隠れるパンツを履いて欲しいと思いますが、抵抗のある方は最近かわいい腹巻きが出ていますので、そういったものを積極的に摂り入れて温めるようにするといいでしょう。
●首元を冷やさない
大きな血管が流れている手首、足首など「首」のつく場所も温めておきたい部位です。特に頭と体を繋いでいる首は大量の血液が行き来する大切な部分ですから、外出時にはマフラーやストールで首元を覆って保温し、寝るときもネックウォーマーや薄いタオルなどで首や肩を覆って冷やさないように心がけましょう。たったこれだけでも、思っている以上に体がぽかぽかと温まり、快眠につながるだけでなく、翌朝の肌の調子も違ってきます。私は冬でもファッションとしてノースリーブを着ることがありますが、そんな時はハイネックにして首元は温めるようにしています。
●シャワーの時、足首を冷やさないために
お風呂はシャワーで済ませる方も多いと思いますが、足元だけひんやり感じたり、シャワーから出るとすぐに体が冷えてしまうことはありませんか? そんなときは、洗面器などに熱めのお湯を15~20cmほどはり、足首を温めながらシャワーしてみてください。足元から温められた血液が全身を巡っていくので、シャワーの後もしばらくは全身浴のように体が温たまっているのを感じるはずです。
食事で体の中から温める習慣を
一般的に夏野菜は水分が多く、ほてった体をクールダウンする働きがありますが、夏野菜も温野菜にすることで体を冷やすという問題はなくなりますから、あまり神経質にならなくても大丈夫です。一方、秋~冬の野菜は冷えた体を温めるもの豊富です。ごぼう、ねぎ、にら、大根、れんこん、いも類、かぼちゃ、たまねぎ、にんにく、かぶ、にんじんなどはその代表的なもの。スープやお鍋にすることでたくさん食べられますし、体も温まります。
ねぎやにらなどの香りの強いもの、ごぼう、かぼちゃ、大根、いも類などの根菜、しょうが、唐辛子などの香辛料がおすすめです。
しょうがやとうがらし、シナモンなどの香辛料も冷え性の人にはとってもいいですね。お料理に使うのはもちろんですが、手軽にお湯で割って飲んだり紅茶やコーヒーに入れたりして飲んでみましょう。私は、ふだんからランチ用におにぎりを作っていきますが、その具にはすりおろした生姜とかつおぶし、味噌を混ぜたものが定番です。体も温まるし、とてもおいしいので、ぜひ試してみてください。また、寝る前には、白湯にすりおろした生姜の汁を小さじ1杯程入れて飲みます(飲みにくい方は黒砂糖を少し入れてもOK)。真冬でも暖房なしでぐっすり眠ることができますよ。こういったものは、少量でも毎日続けて摂取することが大切です。
私の夜の習慣はこちら。食事の後にはメラメラ成分の唐辛子、体をいたわるゆるやか成分のサラシアとLAB4 乳酸菌などを配合した燃体源を2粒。就寝前にしょうがを少量しぼった白湯を飲んで、体の中からぽかぽかに。燃体源(ねんたいげん)/ハーバー研究所
温活をスキンケアにも取り入れる
肌が冷たく感じた時は、スキンケアをする前に両手をさすり、その摩擦で手のひらを温めてからおこなうと、スキンケアの浸透がアップします。化粧水を十分につけた後、オイルを塗った後など、プロセスごとに温かい手のひらでハンドパックするようにしっかりなじませましょう。冷えで顔がくすんでいる、ザラつきやゴワつきを感じるときなどは、ホットタオルをガーゼや手ぬぐいで包んだものを首元に巻きながらスキンケアをしてみてください。寒さで緊張していた筋肉がほぐれ、リラックス効果も。美容成分の浸透もアップし、顔色もほんのり桜色になれるはずです。
ホットタオル(電子レンジで1~2分温めたもの、または熱めのお湯に浸して水気を絞ったもの)を、長めのガーゼや手ぬぐい、またはラップで包み、首に巻いてスキンケアやメイクを。
時間に余裕がある時は、朝の足浴もいいですよ。私は洗面台にお湯をはり、そのまま洗面台の横に座って足湯をしながら歯を磨いたり、髪の毛をブローします。終わる頃にはほんのり汗ばむくらい、体が温かくなっています。
女性の美や健康にとって冷えは大敵。ますます寒くなる季節に向けて、内外から体を冷やさないように気を付けることが、イキイキとした美肌への近道にもなることをお忘れなく。(文=土屋綾子)