グッと気温が下がり、朝晩冷え込むようになりました。これから年末にかけては1年でもっとも忙しい時期。体調を崩してなどいられないですよね。今年はインフルエンザが例年より早いタイミングで流行り始めていますから、十分に注意したいものです。
それからどうしても気になるのが、肌の乾燥です。気温と湿度の低下による乾燥以外にも、寒さによって血流の巡りが悪くなるために起る乾燥や肌荒れも気になります。
今回はそんな季節に取りいれたい〝免疫力を上げる食材〟と〝うるおい美肌をつくる食材〟をご紹介します。
空気が乾燥したり、季節の変わり目などで体の免疫力が下がると、風邪やインフルエンザにかかりやすく、また肌荒れを起こすなどあらゆる不調の元凶になるので注意して。
免疫力とは体内に侵入しようとする〝異物〟を排除するちから
私たちの体は何十兆個もの細胞から構成されています。それらの細胞には決まった働きがあり、それを妨害しようとする〝異物〟が侵入してくると、どうにかしてそれを排除しようと頑張ってくれます。
わかりやすい例でいうと鼻水です。体に侵入しようとした菌やウイルスは、その第一段階として皮膚や粘膜によって物理的に排除され、それが鼻水として外に排出されるのですが、それを超えて侵入してきたものに対して、白血球が中心となって免疫機能が働き始めます。 そんな免疫機能を高めるためには、ふだんからの食事がとても大切です。
メニューに迷ったら栄養価が高くておいしい〝旬の食材〟を
現在は、ハウス野菜など出回るため、いつでもどこでも四季に関係なく様々な食材を手に入れることができますが、昔はその季節に応じた野菜や果物が決まっていました。それが「旬」の食材です。
暑い夏の時期に実る野菜や果物には、体をやさしく冷やしてくれるものが多く、逆に寒い冬に実るものは体を内側から温めてくれるようになっていて、人間の体にうまく働きかけてくれていたのですね。 だから今でも私は、食品を選ぶときはなるべく旬の食材を摂る様に心がけています。
旬の食材は味が濃くて、うまみが多いので余計な調味料を使わず、素材の味を活かしたおいしい料理ができるのも大きなメリットです。 私の場合は、なんか元気がないな、肌の調子がいまいちと感じたら、とりあえず旬の食材でメニューを考えてみます。そうすると、深刻になる前に問題が解決し、いつのまにか元気で調子がいい状態でいられることが多いですね。
消化器系やインフルエンザ予防にいい食材
朝晩がグッと冷え込み、空気も乾燥しやすい今の季節は、呼吸器系に負担がかかり、気管支喘息や風邪、インフルエンザにかかりやすくなります。そんなときこそ、皮膚や粘膜を強化するビタミンAやβカロテンを多く含む食材を摂るように心がけましょう。
●きのこや根菜類で免疫力アップ!
今がおいしいきのこや木の実、根菜類など、これらはすべて消化器系の働きを活発にしてくれる食材です。また、根菜類は体を温めるとともに胃腸の働きを高める滋養食でもあります。
大根、人参、里芋、栗などは免疫力を高めるにはもってこいの食材です。 特に低カロリー、ビタミンやミネラルも豊富なきのこは美肌にはもちろん、ダイエット中の方にも強い味方。ビタミンDはカルシウム代謝に大きく関わる成分で、骨粗しょう症予防にも。
また、ベータグルカンという多糖類には、免疫力をアップさせる力があります。食物繊維も豊富で腸内環境を整えてくれるので、便秘解消にもおすすめです。
●柿で風邪、インフルエンザをシャットアウト
風邪やインフルエンザに特化していえば、柿が最強です。 昔から「秋の臓」といわれる柿は、肺に通じる器官の鼻や喉などのトラブルを未然に防ぐ効果が高いといわれて、風邪予防としてよく食べられていたものでした。
柿は大好物のひとつなので、いろいろな形に料理して取り入れています。 おすすめは「大根と柿のサラダ」。大根と柿を千切りにしてマヨネーズであえるだけの簡単メニューですが、これがとてもおいしいのです。
また「柿と牡蠣の酢の物」は、生牡蠣と柿を酢の物にして、大根おろしを添えて完成。 「柿とさつまいものサラダ」はマッシュしたさつまいもの中に、柿をカットしたものを混ぜ、マヨネーズであえたもの。「山芋の千切りと柿」のサラダは、山芋と柿を千切りにして、しょうゆで味付けするだけです。
どれも数分でできる簡単メニューですが、メインのおかずを出す前のお酒のおつまみとしても使え、柿をおかずにするという意外性が喜ばれます。また、柿は酔い覚ましにもいいのですが、飲む前に食べると、胃の粘膜を保護して悪酔いを防ぐ効果があります。忘年会や新年会などの飲み会の前に試してみてください。
秋から冬にかけておいしい柿やキノコ・根菜類は、体の免疫力をあげる最強の食材。1日の食事で積極的に取り入れたいものです。
肌を内側からうるおし、美肌になる食材
● 秋刀魚の脂は成人病予防やボケ予防、認知症対策にも
この季節の、美肌食材といって一番に思い浮かぶのが秋刀魚です。 パンッとしたハリのある肌や、筋肉をつくるのに絶対に必要なタンパク質ですが、秋刀魚ににはとても質のいいたんぱく質が豊富に含まれています。
また、秋刀魚の脂に含まれるEPAには血栓防止効果、DHAには脳に学習能力を高める効果があり、成人病予防やボケ予防、認知症対策でも注目されていますよね。腹ワタにはビタミンAも豊富に含まれているので、抵抗がなければ秋刀魚は全部食べ切るのが一番いいのかもしれません。
私は季節を問わず、秋刀魚を食べています。その秘密は缶詰を利用しているからなのです。缶詰は魚が新鮮な状態で詰めていくので、栄養価は申し分ありません。骨まで柔らかくなっているので全部食べ切るとカルシウムも摂れるのもおすすめの理由です。
血中の中性脂肪やコレステロール値を調節することで注目されている不飽和脂肪酸もそのままパックされています。ビタミンAも豊富なので、目の粘膜を強くしたり、シワの改善にも一役かってくれそう……、とまさにいいことづくめなのです。
簡単でおいしいメニューをひとつご紹介します。
水にしょうが1カケをおろして入れたら、ネギや白菜を適当な大きさにカットし、その中に秋刀魚の缶詰を入れて混ぜ合わせます。缶詰の汁でいい味がつき、それだけでも十分おいしいおかずになります。
他にも秋刀魚はパスタに入れたり、炊き込みごはんにしたりとどんなメニューにも変身してくれるのでとても重宝しています。生の秋刀魚ももちろんいいですが、缶詰をストックして1年中秋刀魚を楽しんでしまいましょう。
秋が旬のさんまですが、栄養素をまるごと摂れる缶詰をストックしておくと、1年中いろいろなメニューにアレンジできておすすめ。栄養もたっぷり、価格もリーズナブルです。
●ポリフェノールが豊富なナス、植物繊維が豊富な栗もおすすめ
約93%が水分ですが、葉酸、ビタミンKなども豊富で、女性にはありがたい栄養素が取れます。ナスの紫色の皮には抗酸化成分、ポリフェノールがたっぷり含まれていますので、できれば皮をむかずに調理したいですね。
ナスは油を吸いやすいので、カロリーも気になるところ。油を使う場合は、レンジで下調理をすると油を吸いにくくなります。焼きなすや浅漬けなど、油を使わない調理法もあるので工夫してみてください。
栗もいいですね。意外と知られていませんが、栗は食物繊維が豊富な食材のひとつです。栗の渋皮にはポリフェノールが豊富に含まれています。できれば、皮ごと調理してポリフェノールごといただきましょう。
●ビタミンたっぷりのさつま芋で疲労回復。胃腸も元気に!
冬に恋しくなるのがビタミンC、E、食物繊維が多いさつま芋ですね。ビタミンCが豊富で、蒸しても、焼いても、炒めてもいいのが最強です。また、消化器系の働きを高めて、胃腸を元気にする作用が期待でき、ビタミンB1、B2が疲労回復にも効果があります。
旬の食材で免疫力がアップしてさらに美肌になれば、不思議と〝やる気〟もアップ! 寒い冬も気持ちが積極的になり、イキイキとした楽しい日々を送れるはずです。(文/土屋綾子)