人をスキンケアやメイクで笑顔にしたい。そんな気持ちでビューティプロデューサーの仕事に就き、今年で39年目になります。

その間、実にたくさんの女性たちにお会いしてきました。初対面もいれば、何十年ものお付き合いになる方もいます。そんな方たちと会って実感するのは、「人に与えられた時間は平等でも、人は決して同じように歳は取らない」ということです。

つまりは、人にとって年齢など単なる記号で、意識や生き方で、実年齢よりも若くもなるし老けもするということです。

今回は、長年多くの女性たちと関わることで実感している、「美しく年齢を重ねるため」のヒントをお伝えします。

➀本当の美容――自分の肌を知り、最低限の美容知識を身に着けましょう

多くの女性たちは、「キレイな肌になりたい」「悩みを消したい」と思っているのに、何から始めていいのかわからず、高価な化粧品に頼ったり、たくさんの化粧品を買って安心してしまいます。

しかし、それが本当に今の自分の肌に合っているか、必要なのかという部分があいまいなままだと、結局は「最初は良かったような気がしたけれど、変わらない」「肌悩みは残ったまま」「高いお金を払って損した」「なぜ、いつもこうなるの？」という残念な結果のくり返しに。

自分が納得できるスキンケアに必要なのは「自分の肌を正しく知ること」です。そして美肌になるためには、最低限の美容の知識があった方が絶対にうまくいきます。

自分の肌を知るためには、毎日肌と向き合い、ケアを怠らず、かまってあげることです。自分の肌は季節の代わり目に必ずカサカサするということが予想できたら、それに向けて予防ケアができるでしょう。

美容の知識があれば、「肌の原因は水分と皮脂不足だから、水分を補うためにヒアルロン酸が入った化粧品でうるおいを与え、皮脂を補うためにスクワランで仕上げ、うるおいを長時間留めることが必要」といったように自分の肌にあったスキンケアを納得して選ぶことができます。

また、化粧品を選ぶとき、ひとつのメーカーの中で選ぶのではなく、たくさんの化粧品メーカーを扱っているショップの店員さんに自分の肌状態を説明し、それに合ったものを選んでもらうのもひとつの手です。今、世の中には広告費をかけずに、あまり表にはでてきませんが優れたスキンケアアイテムがたくさんあります。

美容は自分が納得することが大切ですが、同時に他人から「あれ、ちょっとキレイになった？」と言ってもらえたら成功です。誰かに「お肌きれいになった？」「化粧品替えたの？」など言われていたら素直に喜んでください。ひとりよがりの美容は案外あてになりません。他人の目こそ、真実を語りますから。

うるおいを補うために必要な水分と油分は、この２アイテムでパーフェクトケア。左から、ヒアルロン酸、ミネラルパワーでみずみずしい肌へと導く化粧水、Gローション。高品質なスクワランによってうるおいを守り、バリア機能を守る、高品位「スクワラン」Ⅱ。／共にハーバー研究所

②内外美容――睡眠、食事、温めるケアを意識しましょう

長く美容に携わっていると、必然的に人を経過観察することができ、いろいろなことが分かってきます。最近、実感したのがある二人の女性の〝見た目年齢〟が逆転していたことです。

ひとりはもともと大変な美人でメイクはいつも完璧にされていた方ですが、その美しさは年齢とともに陰りがみえていたのです。

一方、見た目は普通で、メイクもほどよく、基本の洗顔、保湿以外は特に何もしていない、という女性がとても若々しくきれいに年齢を重ねていました。その方は今年で80歳になるというのに、あまりにもお肌がきれいだったので秘訣を聞いたところ、若い頃から睡眠と食事に大変気を遣われていたことがわかりました。

スキンケアは洗顔と乳液だけですが、紫外線対策は徹底しているのと、1カ月に1度は歯医者に行ってメンテナンスするという習慣があること、そして体を冷やさないということを徹底していると聞き、美しさの源は日常でどれだけ美と健康を意識して生活するかが大切なのだと確信しました。

特に30代、40代など徐々にホルモンバランスや環境の変化が目立ってくる年代になると、「良質な睡眠」「バランスの良い食事」そして、「体を温める」ということは必然です。

人は寝ている間に、あらゆる体の修復をします。バランスの良い食事は良質な血液となり、体を温めるということは血液の循環を促し、毛細血管まで栄養のある新鮮な血液が巡るので美肌へとつながります。健康な生活＝美肌はこうしてつながっているのです。

美容液以上の美肌効果を得られる睡眠。健康で美しい肌の女性は、眠ることにもこだわっています。手前から、寝ながら肌疲れをリセットする大人気のジェリー状美容液ナイトリカバージェリー。リラックス・グッスリ・パッチリの３方向から睡眠のリズムをサポートするサプリメント深休源。／共にハーバー研究所

私が最近、意識しているのが「消化の良い食べ物」を摂ることです。

どんなに好きなもの、おいしいものを食べても、消化が悪ければ胃に負担がかかり、血液の循環も悪くなります。 上質なタンパク質を摂るために大好きなお肉を摂ることが多いのですが、ちょっと疲れているときは湯豆腐に鱈を入れたものに替えたり、お肉とお肉の合間にフルーツを摂ったりして、消化を意識するようにしています。

そうすることで、とても体の調子がいいですね。

毎日の食事だけでは摂りにくい美肌にいい栄養素は、サプリメントで補うのも手です。右から、酵素熟成ハトムギを配合。毎日快朝すっきり、すべすべの美しさ　つるつるハトムギ。コラーゲン、L-シスチン、セラミドを1本に集約し、透明感やハリ、うるおいをサポートする北の潤白美人。／共にハーバー研究所

③人間関係――人との距離の保ち方を決めておきましょう

人との関わり方は、その人の置かれた環境によって変わってくると思いますが、「遠からず、近からず。あまり入り込まない、深入りしない」というのが私の一貫したスタンスです。

一見、クールに思えるかもしれませんが、中途半端に首を突っ込み、結局最後まで責任を終えないと、相手に期待をさせた上に落胆までさせてしまいます。〝良いときは近づいて、悪くなったら離れる人〟と思われるのも心外なので、いかなるときも「付かず、離れず、一定の距離間をもって付き合う」のがいいと考えています。

なぜか気乗りしないお誘いがあった場合、本当は断りたいけど、お付き合いもあるしどうしよう、と悩むことありませんか？　そんなときはすぐに返事をせず、「予定を確認するので明日まで待って」と伝えて、1日考えるようにしましょう。そして改めて「行ったら自分は楽しめる？」と問いかけてみるのです。

そして、断るときは、また誘われやすい〝余韻〟を残すことがポイント。「誘ってくれて嬉しいのだけど、今回は本当に残念」「またぜひ誘ってね」と感謝の気持ちも忘れずに。そうしたら、必ずまた声をかけてくれます。

人間関係でのいざこざは大変なストレスになりますし、他者が関係することで一層複雑化しますから、できるだけスムーズにすませたいものです。

④あいさつ、礼儀――どんな人に対しても平等に、礼節をもって接すれば一目置かれます

親しき仲にも礼儀あり。

あいさつはどんな方にも平等にするのが礼儀だと思っています。

年齢や立場が上とか下とかは気にせず、相手に気づいたらあいさつをすればなんの問題も起きません。どうしよう、と迷うくらいなら自分からすればいいし、相手があいさつをしてこなくても、自分はあいさつをするくらいでいいのです。

昔、母に言われていたのが「あいさつと笑顔は出来て当たり前」ということば。人と会ったら「笑顔であいさつをし、何かしていただいたら笑顔で感謝の気持ちを伝えなさい」というのが、躾のひとつでした。「そうすると、クッキーが1枚だったのが2枚になることもある」と（笑）。母のユーモアを交えた表現は実に的を射ていていたように思います。

もうひとつの教えは「次回会ったときには、再び気持ちを伝える」ということでした。

その場で気持ちを伝えることは誰もがするでしょう。ただ、後日再会した時に「先日はありがとうございました」「昨日は申し訳ございませんでした」と言える人は意外と少ないのです。

今度、そんな機会があったら試してみては？　礼儀正しい女性だと一目置かれるはずですよ。

⑤姿勢と目つき――姿勢がきれいな女性、瞳が輝いている女性はいくつになっても美しい

ドラマや映画に登場するわかりやすい悪役は、たいてい姿勢と目つきが悪いものです。

「人は見た目が9割」という本がヒットしたように、たいていの人は見た目で判断しますし、付き合いがない限り、見た目でしか判断できません。 姿勢が悪い、目つきが悪いというのはその本人の意思に関係なく、「何か悪いことを考えていそう」と思われてしまいがちです。

だからこそ、女性は姿勢にもっと気を遣うべきですし、目の使い方も気にするべきだと思っています。 背筋がスッと伸びた姿勢はそれだけで、知性や美貌を想像させます。それは離れた場所からでも雰囲気を醸し出し、美しい後ろ姿だけで相手を魅了することもできます。

さらに瞳の輝きはメイクでごまかせませんからなおさら重要です。何かに夢中になっている人、周りに気を配れる人は目が輝いて見えます。

この２つは今日にでも実行できるはずですから、ぜひ意識して過ごしてくださいね。

背筋がスッとの伸びているだけで知的で優雅な印象に。女性の笑顔はあらゆる人を惹きつける魅力があります。

〝美しい〟より難しい？「あの人、かわいいね」と言われる女性に

いろいろな視点で「美しく年齢を重ねるためのヒント」を話してきましたが、美しくなること以上に女性として最強なのが「かわいい」といわれる女性だと思っています。

やっぱり人は「一緒にいて楽しい人」に集まってくるもの。

会話が豊富で、気さくで、人を喜ばせることが好き。周りに気配りができて、清潔感があって、いつも笑顔で人を元気にするパワーを持っている、そんな女性は一緒にいても楽しいでしょう。実はそこに、見た目の美しさや完璧さって必要なかったりするのですよね。だからこそ難しい。

あなたの周りにいる「かわいい女性」はどんな人？

ぜひ、その方を観察してみてください。キレイとかステキと言われるよりも、「かわいい」といわれる女性になれたらいいな、と思うのです。（文／土屋綾子）