新緑が美しい季節になりましたね。今回は趣向を変えてスイーツをご紹介します。スイーツも症状に合わせて食材を選べば立派な薬膳になります。立夏も過ぎて暦のうえではすっかり夏。見た目にも涼しげなひんやりスイーツと、ちょっとひねりを効かせた変化球パンケーキです。

夏とはいってもまだまだ初夏。気温も、服装を調整すれば暑いというよりも心地よい季節です。急に気温が上がった時の水分補給は必要ですが、何もしていないのに汗がダラダラ…といったことはありません。まだ夏バテの心配もなさそうですね。そもそも夏バテとは気（エネルギー）が足りない状態ですが、気が足りないことより、気の巡りが悪いことのほうが心配な季節です。

春になって新生活が始まった方は、そろそろ落ち着いてきた頃だと思いますが、特に新しい生活が始まったわけではないとおっしゃる方も、電車に乗ってみると普段よりも人が増えて混雑していたり、何かとストレスを感じることも多い時期です。お天気も、まだ気温差が大きい日もあって、気持ちはストレスを感じていないと思っていても、カラダは感じていることがあります。

また、落ち着いてきたらきたで、張り詰めていた緊張感がゆるんで、やる気がでなかったり、落ち込んだり。こういったうつ症状、元々はストレスなどによる気の滞りから始まります。うまく気分転換して、軽いうちに対処しておきましょう。

１品目は『カルダモン風味の白ワインゼリー　グレープフルーツ添え』。爽やかなカルダモンの香りが、リフレッシュさせてくれます。カルダモンは小豆蔲（しょうずく）と呼ばれる生薬で、消化を促進する働きがあります。そのためストレスで弱りがちな胃に良いものなのですが、なんといっても香りが特徴。気の滞りには香りのよいものが効果的なので、スイーツに限らず、ドリンクに加えるなどして、手軽に取り入れてみてください。グレープフルーツや白ワインも気を巡らせます。

ストレスなどによる気の滞りが慢性化して引き起こされると考えられているうつですが、そこまで進行してしまうと気血も消耗してやる気も起きず、内臓の動きも悪くなって様々な不調も出てきます。さらに不安感をもつようになったり、動悸がして怯えやすく、不眠になったりもします。そんなときに効果的なのが小麦、アーモンド、青梗菜、百合根、いわし、あさり、牡蠣、ジャスミン、緑茶などです。そこで小麦を使った『カモミールとマーマレードのプチパンケーキ』をご紹介。

ヨーロッパでも古くから民間薬として使われているカモミール。鎮静作用や、リラックス効果があるので不眠症にも使われてきました。そんなカモミールと気を巡らせる柑橘の皮（マーマレード）を合わせました。皮がポイントなので、マーマレードはできるだけ皮が多いものを使ってください。柑橘ならオレンジ以外でも結構です。オレンジは、よく洗った皮も千切りやすりおろしにして散らすとより効果的。今回は使っていませんが、トッピングに刻んだアーモンドも加えるのもよいですね。食感も楽しめます。ストレスを感じている方はぜひ、気の巡りを考えたスイーツを試してみてください。

カルダモン風味の白ワインゼリー　グレープフルーツ添え

材料2人分

作り方

①  板ゼラチンは冷水でふやかしておく。グレープフルーツは薄皮を剥き、房から出しておく。しょうがはハチミツで和えておく。
②  小なべに白ワイン、水、グラニュー糖を入れて沸かし、①の板ゼラチンを加え、よく混ぜて溶かす。ボウルに移し、カルダモンパウダー、レモン汁を加えて冷やし固める。
③  ②が固まったら、器に①のグレープフルーツを盛り、②をくずして上からかけ、①のしょうがのはちみつ和えを添える。あれば軽く潰したコリアンダーシードをふりかけ、ミントを飾る。

カモミールとマーマレードのプチパンケーキ

材料2人分

作り方

①  ボウルにAを入れ、ホイッパーでよく混ぜる。Bを混ぜ合わせてソースをつくる。
②  別のボウルに卵を入れて泡立てるようによく混ぜ、牛乳、ヨーグルト、カモミール、マーマレードを入れて混ぜ合わせる。
③  ②に①の粉類を加えてさっくりと混ぜ合わせ、粉っぽさがなくなったら３～５分ほど寝かせる。
④  フライパンを熱して大さじ１ずつすくい落とし、中火で両面をこんがりと焼きあげる。
⑤  ④を器に盛ってソースをかけ、オレンジ（実、皮）、生クリーム、ミント添える。