廣森知恵子のビューティトーク
2015-07-07
#03 良質な睡眠こそ美と健康の源

皆さん、毎日良い眠りに就けていますか?
人生のおよそ3分の1を占める睡眠を疎かにしていては、美と健康から遠ざかってしまいます。睡眠時間が足りず、眠りが浅かった日などは、目の下にくまができたり、肌がくすんだり、毛穴が開いたり……、こんな肌トラブルの経験はどなたにもありますよね。逆に、ぐっすりと眠れた日は、肌の調子も良く、フットワークも軽くなり、気持ちまで前向きになれます。

寝ている間の機能としては、
①肌の新陳代謝を行ない、美肌をサポート。
②免疫力を向上させ、健康な体をつくる。
③体を成長させる。
④脂肪を燃焼させ、やせやすくする。
⑤心のメンテナンスをする。
と、主にこの5つが考えられますが、そこには睡眠の間に分泌される「成長ホルモン」が大きく影響しています。成長ホルモンには、新しい肌細胞を生産し、さまざまなダメージから体を回復させるはたらきがあります。骨や筋肉の成長、修復、疲労回復、病気への免疫力、脂肪燃焼、ストレスの軽減などにも大きくかかわり、まさに美と健康のカギを握っているのが「成長ホルモン」なのです。

肌のゴールデンタイムを利用したスキンケアを

“肌のゴールデンタイム”という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは肌の再生を促す「成長ホルモン」が分泌されやすい時間帯のことです。成長ホルモンが分泌される時間帯は22時から深夜2時までといわれていましたが、現在の研究では、寝付いてからの3~4時間という説が有力で、この間に日中に起きている間に肌内部に受けた、紫外線ダメージなどの修復が進むといわれています。「今日、少し日焼けしちゃった」「乾燥肌を明日朝までに何とかしたい」と思ったら、その日の夜のスキンケアから見直し、ゴールデンタイムに備えましょう。

まずは、クレンジングで1日の汚れを落として清潔にします。そして化粧水の5回重ね付けでうるおい成分をたっぷり補給しましょう。睡眠中に行われる肌の修復機能に着目した美容液などもおすすめです。成長ホルモンが分泌される“肌のゴールデンタイム”は絶好のスキンケアタイムなのです。

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寝ている間に美容成分を角質層内部に届け、翌朝にはふっくらとした美肌へ。夜中の肌再生機能に着目した夜用ジェル美容液「ナイトリカバージェリー」/ハーバー研究所

寝不足と太りやすさは比例するとされています

もうひとつ気を付けたいのは、寝不足が続くと太りやすくなる傾向にあることです。食欲を上げるグレリンというホルモンの分泌が増え、逆に、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌が減るためと言われています。

食べる量は同じなのに太りやすくなった、なぜか食欲が止まらない、味の濃いものやジャンクフードばかり食べたくなる……という方は、きちんと眠れていない可能性もあります。一方、良い睡眠は成長ホルモンによって脂肪を分解・燃焼しやすくしてくれます。この、寝ている間のダイエット効果を有効に活用するためには、夕食は寝る前の2~3時間前にすませ、消化・吸収を終わらせておくこと。そうすることで、体内に蓄積されている脂肪が消費されるようになり、目覚めた時スッキリ感を感じられるでしょう。

良質な眠りのために必要なことは?

どうしてもうまく寝付けない人は、就寝1時間くらい前から部屋の灯りを暗めにし、携帯やパソコンを早めに切り上げる、入浴はゆるめのお湯にゆっくり入るなど、環境づくりから始めましょう。私は寝つきがいい方で、眠れなくて困ったということはあまりないのですが、眠れない時は無理に寝ようとせず、お湯などを飲んで体を温め、リラックスするようにしています。睡眠と体温はとても密接に関係しているので、首回りを温めるのもぐっすり眠るのに役立ちます。薄手の腹巻などをネックウォーマーのように巻くだけで体がぽかぽかしてきてきますし、足浴で血行をよくするのもいいですね。

香りも重要です。私は帰宅後にすぐお香、麝香(じゃこう)や白檀(びゃくだん)をたくようにしていますが、これによって外での緊張がスーッとほぐれ、だんだんオフモードになり、そのままリラックスした状態で眠りにつくことができます。わざわざお香やアロマをたくのは面倒という人は、ラベンダー、マンダリン、カモミール、ネロリなど、リラックスできる香りのハンドクリームを寝る前につけるだけでもOK。ふわっと優しい香りに包まれて、心地よく眠ることができます。

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リラックスできる香りを嗅ぐことで、張りつめた気持ちをオンからオフへと切りかえることができます。

そして翌朝の心地よい目覚めのために、朝日が差し込むよう、カーテンは少し開けておくといいでしょう。自然な太陽の光は、心地よい目覚めの手助けとなります。朝目覚めたら、眠くても先ずは体を起こしてカーテンを開け、思いっきり朝日を浴びてください。体内時計がリセットされて、スッキリ目覚めることができますよ。(文=土屋綾子 写真=滋野由美)

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気分をほぐして眠りをサポート。ハーブで作った休息サプリメント「深休源」(しんきゅうげん)。リラックス、グッスリ、パッチリの三方向から快適な眠りを。/ハーバー研究所