fashion
2015-07-20
「着る」をもっと心地よく by 吉田けえな
#01 なりたい自分になるための服選び

食べるものは、オーガニック、無添加など様々なこだわりを持っていても、洋服のことになると、どのお店で買ったらいいのか、どんな風に着こなしたらいいのかわからない、仕事柄、そんな相談を受けることがあります。ちょっとした着こなしテクニックやお店選びのコツなどは様々にあるものの、私は、一番はどんな自分になりたいか、をイメージすることが大切だと思っています。

昨年、「あなたは半年前に食べたものでできている」という村山彩さんの著書が話題になりましたが、身体の組織を作る食べ物は言うまでもなくもちろん大事ですが、着るものはその人をの未来の姿を作る、あなたの未来を構成する要素だと思います。それは、他人から自分がどう見られるか、判断されるかももちろんありますが、何を選んで、どう着るか、それによって、どういう自分になりたいかを意識し、その洋服を着ている間、自分の振る舞いが変わるからです。

仮に初めは背伸びして着ていたり、身につけていたりしていても、時を経るうちに自然とその人に馴染んできます。それは、身につけているものにふさわしい自分になりたいと望み、行動が変化し、努力するから。それはお洋服はもちろん、時計、靴やバッグなどの小物でもいいと思います。
1一方で、洋服のデザインはもちろんですが、素材に目を向けてみるのはいかがでしょう。というのも、いい素材は、着ている時の心地よさがびっくりするほど違い、1日中でも身につけていたくなります。そのため、私は自分の肌に合うと感じた素材の商品は、色違い、形違いで購入してしまうことも。特に麻やオーガニック・コットン(※)は、使い込むほど肌馴染みがよくなって、肌に触れた時に気持ちよく感じるようになります。麻は、最初は上の写真のように張りがありますが、洗濯するほど柔らかくなり吸水性もよくなるので、お洋服はもちろん寝具にもオススメの素材です。
2また、シルクは天然素材でありながら、紫外線を吸収する性質セリシンが含まれているため、夏のショールやカーディガンは、写真のようなシルク素材のものを選ぶことをオススメします。複雑な繊維構造をしているため、夏は涼しく、冬は暖かく快適に保ってくれますし、保湿成分を備えていて肌を潤す効果もあるため、インナーにもとても適しています。日本の伝統的な着物は季節によって着るべき素材(仕立ても)が違いますが、その基本的な理由は、暑い時期は涼しく、寒い時期は温かく装うため。現在のような化学繊維がない時代から、素材は機能によって選ばれていました。
3写真のBASERANGE(ベースレンジ)は、地球に優しく持続可能な素材にこだわって作っているアンダーウェアとイージーウェアのブランドです。着ている人が心地よく、デザイン性が高く、さらに地球環境にも配慮している同ブランドは、フランスとデンマークを拠点に活動しています。日本にも天然繊維とオーガニック・コットンにこだわったtenerita(テネリータ)やikkuna/suzukitakayuki(イクナ/スズキタカユキ)というブランドもありますし、今後このようなブランドはさらに増えると思います。お気に入りの肌触りの素材を使用しているブランドをみつけると、毎日の暮らしが少し豊かになるのでオススメです。

※オーガニック・コットンとは●●●●1990年代には農薬使用量がピークに達し、世界の綿栽培の約20%で殺虫剤などが使われていました。その後、使用量は減らされてきましたが、2008年の段階で殺虫剤は15.7%、殺虫剤を含む農薬全体では依然6.8%を占めていました。そこで農薬を使用しないオーガニック農産物等の生産方法についての基準に従い、2~3 年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て認証機関に認められた農地において、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のことをオーガニック・コットンといいます。(一部、NPO法人日本オーガニック・コットン協会より)