香港出身のデザイナー、アラン・チャンさんによるライフスタイルショップ「Garden 27」に行ってきました。東洋と西洋文化の融合の名手といわれるアランさんは、日本を含め世界を舞台に活躍しています。上海でも数々のプロジェクトにかかわり、毎月のように訪れているそう。これまでも上海に自身のプロダクトを販売するお店がありましたが、それらを閉めて新しいコンセプトで昨年オープンさせたのがこのショップです。
場所は市内中心に建つ庭付きの建物の3階にあります。1階と2階は雰囲気のいいカフェレストラン。3階へ行くにはレストランのエントランスから入り、ダイニングを通って階段を上がります。
店内に一歩入ると、まるでおとぎ話の世界に足を踏み入れたような空間が広がっています。テーマは「花」。花にまつわるデザインと、花のように生活を豊かにするライフスタイルプロダクトを集めています。ここ数年、上海では人々の暮らしやデザインに対する興味が高まっているのです。
「上海におけるデザインのプラットフォームにしたい」との思いから、メインの商品はアランさんが世界中で買い集めたデザイングッズです。仕事で様々な国を訪れている彼は、スタッフによれば「ちょっとクレイジーなくらい」買い物好きだとか。旅先で気に入ったものを見つけるとすぐに購入するそうです。フランスの天然素材を使った「LE BAIGNEUR」や「Consu de Fil Blanc」のソープ、アクセサリー、イギリスのティーカップ、さらには日本のものもたくさん。「amabro」のマグネット、「京都ちどりや」のフェイスパウダー、「能作」の錫の酒器のほか、最近、中国でテーブルウェアとして人気が高いという和服の帯が何種類もありました。
もちろん、本人がデザインを手がけたオリジナルグッズも揃えています。シノワズリテイストの鉛筆セットやコースター、また、このお店のためにデザインした花柄のレターセットやショッピングバッグもあります。
ディスプレイも自ら行い、イギリスの帆船の縮小模型や蓄音機、恐竜のフィギュア、魔法使いのようなマントなどが飾られ、なんともファンタジック。奥さんのコレクションであるビンテージのキューピー人形たちもずらり。60代半ばのアランさんですが、少年のような心の持ち主だなあと感じます。
宝物にあふれた空間の中で、私が特にひかれたのは壁に掛かっていた時計です。以前にアランさんとセイコーが手がけた作品で、現在は非売品。長針で漢数字を表すユニークなデザインです。
店内の奥の棚には本人のコレクションだという中国の陶磁器のほか、中国茶や伝統工芸、天然石などに関する書籍が並んでいました。デザインの融合は自身の文化の背景を深く見つめたところから生まれるのかもしれない。アランさんの頭の中を少しだけのぞいた気持ちになるショップです。
●Garden 27
上海市静安区陝西北路407号3F
Tel.021-5266-0953