Shanghai:上海
2016-05-11
若手作家による景徳鎮の器で、毎日の暮らしをより豊かに

「新しい器が入荷しました」という知らせを聞き、『常楽』へ行ってきました。陶磁器の産地・景徳鎮でつくられた器を集めたショップです。お店は上海の住宅街の奥にひっそりとたたずんでいます。

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庭のある古い住宅をリノベーションした、白を基調とした空間。昨年オープンしたのですが、久しぶりに訪れたら棚が増え、以前よりも品数が豊富になっていました。

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店主のアレックス・ルオさんは1982年生まれ。金融やメディア、小売業など様々な仕事を経て、昔から興味があったという器のお店を開きました。このお店で扱っているのは、食器や茶器、花器、壺など、景徳鎮で活動する20数名の中国人作家による陶磁器類。全員1985年以降に生まれた若手の陶芸家です。上海から景徳鎮へは飛行機だと1時間ほどの距離で、アレックスさんが直接赴いて買い付けています。

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「この作家の湯呑みは小さくて精緻なことが特徴です。本人も小柄で、話すときの声もすごく小さいんですよ」
「この方は先日、作業しているうちに腰を痛めてしまって。お見舞いに妻がマットを送りました」
「猛々しい雰囲気の器でしょう? でも、これをつくったのは女性です」
器を手に取っては、生き生きと語るアレックスさん。景徳鎮へ行くのは年に4,5回だそうですが、作家たちと常にコンタクトをとっており、その関係性は「まるで身内のよう」だとか。現地を訪れる際はいつも彼らの家に泊まっているそうです。

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日本の志野焼のような湯呑みもありました。景徳鎮では近年、欧米人や日本人、韓国人など各国の陶芸家も活動しており、作家どうしお互いに影響を与えあいながら切磋琢磨しているそうです。

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「景徳鎮は一時衰退したといわれ、僕自身も現在つくられているのは質のよくない量産品、あるいは古い芸術品というイメージがありました。でも、あるとき友人の案内で行ってみたら創造力・想像力ともに豊かな若い作家たちが活動し、従来の流れに大きな変化を起こしていて驚きました。彼らの作品は海外の影響を受けつつ中国の伝統も尊重し、現代の生活に根付いた実用の美を大切にしたもの。こういう器を上海で広めていけたら」
価格は200~300元(約3300~5000円)くらいのものがメイン。お客さんもつくり手同様、多くが30歳前後の若い世代だそうです。

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「面白いのは、持ち家がある人よりも、賃貸住まいのお客さんのほうがよく買ってくれること。鑑賞用の芸術品ではなく、食事やお茶を飲むのに使ったり、花を活けたりと、毎日の自分の暮らしを豊かにする実用的で美しいアイテムを探している人が多いんです」

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ショップには畳を敷いた部屋も併設されています。展示会や茶会などのイベントに使われており、この日はここで店主自ら龍井茶と水仙烏龍茶を淹れてくれました。
「以前、ニューヨークで日本人が開いたあるお店に入ったとき、とても小さいのですが何十年も続いていると聞いて驚いたことがあります。僕も今、ささやかですが自分がやりたいと思うことをやっている。頑張って長く続けていきたいですね」と、アレックスさん。若手作家の茶器で中国茶を味わいながら、初夏の爽やかな風を感じたひとときでした。

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●常楽CHINALE
住所:静安区長楽路774弄 22号101
TEL:86-152-0171-4520 
※日曜・月曜休み。なるべく事前予約を。英語でも対応可能