Berlin:ベルリン
2016-03-28
オランダの小さな学生街フローニンゲンは自転車パラダイス

ドイツの国境に近い北オランダ、フローニンゲンを取材がきっかけで訪ねた。15年ぶりぐらいに訪れたこの街の雰囲気は以前とあまり変わることなく、落ち着いて安定した印象。人口20万人弱の小さな街だが、古くからの大学都市なので若者が多い。街には高い丘などがなく、とにかくフラット。都市計画が徹底されていて、自転車大国オランダの中でも、特に子供から老人まで、自転車の利用率が高い。

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運河に囲まれた旧市街はレンガ造りのオランダらしい建築。アールヌーボーに現代建築が混在していて、歩いて楽しく廻れる。中央駅を出ると、まずアレッサンドロ・メンディーニとコープ・ヒンメルブラウ、フィリップス·タルクがデザインしたフローニンゲン美術館が印象的だ。建築が好きな人は自転車を借りて、時代によって変わる建築スタイルを訪ねてまわるのもおすすめです。

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車道の隣には必ずというほど、幅の広い自転車専用の道路が設けられている。サドルが高めの自転車に乗った人たちは、結構なスピードで市内を走り回っているので、道を渡る時はクルマよりも自転車に注意。雨の日でも寒い日でも、自転車通勤通学が定着しているので、フローニンゲン駅前や構内には巨大な駐輪場に自転車がいつもいっぱい。電車の中でも、折りたたみ自転車を持って帰宅する数々の人の姿を目にした。自転車はエコロジカルだし、健康を維持するにもいい。

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自転車のかたちもいろいろある。前に長方形のボックスを置くプラットフォームがついたものがオランダでよく見かけるパターン。荷台をつけて子供2~3人を連れているたくましいママもいた。背もたれがあり、ペダルが前についている、ぐんと低い位置で走る自転車はスピードが相当出る。2人乗りもOKで、後ろに乗っている若い大学生らしき女の子が買い物カートを引きずる姿もあった。なんとも飾らぬ姿が微笑ましい。

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毎回オランダを訪れると思うのだが、古き良き時代を経て、成熟した社会だと感じる。古いものと新しいもののバランスがよく、保守的な面もあればジョークもあり、頑張り過ぎていない。きらびやかな贅沢さはなく、食や服装などは質素で、美術や音楽、自然を楽しむなど物質的な欲をあまり感じない。建築やデザインは機能的でありながら、綺麗な色使いなどアクセントもあり、洗練されている。特にフローニンゲンはドイツに近いことから、オランダ語以外にもドイツ語、英語、そしてフランス語もできる人がたくさんいて、それがインテリぶっていなくて自然体なのがすばらしい。

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週末のカフェは学生だけでなく、地元の元気なシニアも集まって話に花が咲き、ワイワイやっている。日本ではどうしても若いということが良いことみたいに思われがちだけれど、こうした成熟した大人がどこでも受け入れられる社会であることも大切な気がした。