Colorado:コロラド
2016-07-15
全米一オーガニック志向でロハスな街、ボルダーに学ぶ

雄大なロッキー山脈の麓に位置する、大自然に囲まれた美しい街ボルダー。コロラド大学を中心に学園都市として、また、アウトドアスポーツの聖地として有名な街だ。日本ではマラソンのオリンピック選手らが高地トレーニングをする場所としても知られている。

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しかし、この街の魅力はそれだけではない。ボルダーは、ロハス(LOHAS = Lifestyles of health and sustainability)発祥の地でもある。ロハスとは直訳すると、健康と環境、持続可能な社会のあり方を重視するライフスタイル。日本では残念ながら、この言葉自体が一過性の流行語に終わってしまった感じがあるが、ボルダーでは言葉自体の認知度はさほどないものの、街や人々、企業全体にこのロハスというスピリットは息づいている。地球環境に優しいリサイクル可能なエネルギーや製品を生産・使用することや、健康のために適度な運動、有機野菜や化学添加物の入っていない食品や化粧品を採ることなど、量より質にこだわるライフスタイルがここボルダー流だ。

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ボルダーがロハスな街と言われるのには、まず、その街づくりにある。1900年代初頭、他の都市が競うように都市計画を進めるなか、ボルダー市は景観保護の方針を打ち出し、自然と共存する道を選択した。その大きなきっかけがフラッグスタッフマウンテンの開発問題だった。1910年、この山頂に巨大な遊園地建設の計画が浮上。その時、ボルダーの住民たちは猛反対の意思表示をし、結局、計画は立ち消えになった。それから数十年後、市は街の景観を守るためブルーライン条例を制定。一定の標高を超える地に建設物を建てれば、市はその事業者に水道水を供給しないという厳しい内容だった。

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こうして街を囲む広大な自然は維持され、さらに自動車を排除した中心市街地には、パールストリートという4ブロックに渡る歩行者専用のストリートモールもつくられた。パールストリートには、ローカルのレストランやカフェはもちろん、ボルダー発のヨガやランニング、アウトドアショップが並び、常に多くの人で賑わっている。アメリカでは珍しく、ファーストフード店がほとんど見当たらず、唯一スターバックスが一軒あるくらいだ。

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そしてもうひとつボルダーらしい街の特徴は、市内に自転車専用道路が充実しているところだ。車の数より自転車の数が多いのでは!?と思うほど自転車が多く、平日は自転車通勤、通学する人たちを、週末はロードバイクやマウンテンバイクを楽しむ人たちをたくさん見かける。エコとアウトドアアクティビティが融合したボルダーならではの日常的な光景だ。

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地元で採れた農産物を地元で消費する地産地消という考え方が広く根付いているボルダーでは、ロハスな食文化にも魅力がいっぱいある。4月から11月の毎週土曜日と水曜日に開催されるファーマーズマーケットは、地元の農園や牧場で作られた新鮮な野菜やフルーツ、パン、チーズ、ワインなどを直接生産者から買うことができる。ファーマーズマーケットと言っても、単に買い物をするだけの場にとどまらず、地元のシェフがローカルの食材を使って作る料理を食べたり、地ビールやコロラド産のワインを片手にライブミュージックを楽しんだり、地元の人々の憩いの場、社交の場といった感じだ。

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そんなファーマーズ マーケットの他に、地産池消、オーガニック、リサイクルといったロハスをコンセプトにしたレストランがいくつもある。シャトークアパーク歴史地区という自然保護区の一角にある「ダイニングホール」では、地元で作られた新鮮なオーガニック食材を贅沢に使ったメニューが並ぶ。

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このレストランは、ボルダー郊外に自家農園スリーリーフファームを構え、野菜はもちろんレストランで提供するオーガニック食材を自分たちの手で生産している。まさに「Farm to Table」を実現するレストランだ。世界的なミツバチ不足が野菜の収穫に大きく影響していることを知ったオーナーは、養蜂場も設置し、蜂たちが蜜を吸うようにフルーツを栽培、そしてそのフルーツの果実はレストランで使用されるジャムへとかわる。また、レストランから出た生ゴミは肥料として再利用され、化学肥料は使っていない。こうして100%の自給率と持続可能なエネルギー効率を実現するロハスなレストランには、オーガニック志向でロハスなボルダーの人々で賑わう。ボルダーの恵を生かした一皿にリピート客も多いのも納得だ。

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ボルダーが全米一ヘルスコンシャスな街と言われるのは、こうした自然と共存していくロハスな社会、ライフスタイルがあるからだ。街づくりにはじまり、現代の暮らしのレベルやクオリティを維持しながら、環境や健康に配慮する生活が、ここボルダーではしっかり根付いている。

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