Beijing:北京
2016-06-06
熟練職人による美しい火花のツリー「打樹花」を見て来ました

先日、河北省の無形文化遺産として有名な民族行事「打樹花」を見に行って来ました。期待以上の迫力と美しさに感動したので、レポートしてみたいと思います。

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「打樹花」は、高温で溶けた鉄を壁に打ちかけ美しい火花を作り出すという、河北省蔚県暖泉鎮の伝統行事で、500年ほど前にこの地で発祥したそうです。中国では旧正月を祝う春節に、厄除のため爆竹や花火をあげる習慣がありますが、経済的に花火を買うことが出来なかった村の鍛冶職人が、鉄の加工作業から火花が出ることをヒントに、鉄を溶かしたものを壁にぶつけてみたそうです。すると花火のようなきれいな火の子ができたことから、旧正月に鉄の溶液を村の城壁にぶつけ、花火の代わりに村人とともに楽しむようになったのが起源といわれています。

今やその美しさと迫力は全国に広まり、多くの人が「打樹花」を見に暖泉鎮を訪れるようになりました。日本のテレビ等でも催しの様子や、それに伴う危険さについて報道されたことがありますが、観光客が増えたことで、今では村に「打樹花」用の特設会場が設けられ、毎週土曜と祝日に催しが行われています。

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日が落ちる頃になると、舞台裏では「打樹花」用の鉄約300Kgが溶かされます。最初に民族舞踊などのパフォーマンスが20分ほど繰り広げられ、それが終わるといよいよ本番です。

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3人の鉄職人が順番に現れ、それぞれ見事にそびえる火の樹を作り上げていきます。高さ10メートルの壁に、できるだけ高く、早く、強く当てることにより、壮大な火花のツリーが出来上がるのです。

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鍛冶職人は羊の皮の衣服に身を包み、水で濡らした木の柄杓で鉄液を救い上げ、壁に投げかけますが、その体は、ほとんど火花の中に埋もれています、溶けた鉄を誤ってかぶってしまえば、大やけどを負うことになります。その危険度と難易度から、後継者として志願する若者が少なく、現在この村で「打樹花」を行うことができるのは40~50代の男性4人だけで、その継承が危ぶまれています。

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河北省は切り紙などの民間工芸も有名です。北京から車で3時間前後とアクセスしやすい地方ですので、機会があれば、是非足を伸ばしてみてください。

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