Shanghai:上海
2015-05-26
フランス人によるハートフルな漢方コスメ

上海での暮らしのなかで、中医学(漢方)の不思議に触れたことが何度かあります。風邪が治りきらないとき、体がだるいとき、月経不順になったとき。もちろん何にでも効くわけではないのですが、すっきりしなかった症状がぴたりと治まったことがあります。その力を実感するうちに、「Ba Yan Ka La(バヤンカラ)」を知りました。上海に住むフランス人が2007年に始めたスキンケアブランドです。名前は黄河の水源地であるバヤンカラ山脈から。オーガニックの漢方生薬をはじめ、天然素材だけを使っています。
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創業者でCEOのジーン・ジマーマンさんが初めて中国に来たのは21年前。北京で語学留学をし、言葉や文化を学びました。その後、中国に進出するいくつものラグジュアリーブランドと仕事をし、2004年に上海の高級デパートのジェネラルマネジャーになります。「当時、デパートで扱っていたのは海外のブランドのみ。中国には奥深い文化があるのになぜ中国発のハイブランドがないのだろうと、もどかしく思いました」。
shanghai3そこで自ら立ち上げたのが質のいい漢方を使った自然派コスメでした。「フランスにもフィトテラピー(植物療法)というものがあって、風邪を引くと母が庭で薬草を摘んできては薬を煎じてくれました。中国に来て漢方を知ったときには親近感を覚えましたね。留学中から医薬の本『本草綱目』を読んだり、漢方医の先生に話を聞きに通ったり、中国は植物の種類も本当に多くて興味が尽きませんでした」。また、両親がオーガニック食品を作っていたこともあり、有機栽培にも関心があったそう。ジーンさんにとってオーガニックの漢方は、故郷のフランスでの生活と深いところでつながっているのです。

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バヤンカラで使われている漢方生薬は、紅景天(チベタンローズ)、クコ、蓮、クワの実、サンザシ、ハトムギなど。これらを配合したシャンプーやシャワーオイル、フェイスマスク、石鹸などが揃います。紅景天はチベットでとれる高山植物。抗酸化作用や免疫力を高める効果に優れ、生薬として3000年以上の歴史があるといわれています。紅景天のシャワーオイルは香りもよく、私もお気に入り。使っているうちに心身がすっきりしてくるような、不思議なパワーを感じます。
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「上海は開放的で変化に敏感。まるでパリのような街。外国人による漢方コスメをいち早く受け入れてくれました」とジーンさん。現在、バヤンカラのアイテムはペニンシュラホテルをはじめ中国各地のラグジュアリーホテルやスパのほか、東方航空のアメリカ線ファーストクラスでも使われています。今後は地方都市や海外にもショップを展開する予定とのこと。ジーンさんの中国文化への温かな敬意はハイクオリティーな漢方コスメという形になり、上海から中国全土、そして海を越えて広がろうとしています。