今年は暖冬ですが、大雪も過ぎればさすがに寒さを感じない日はありません。冷え症の人にはつらいシーズンです。冷え症とは単に冬の寒さや冷房の効きすぎによるものではなく、ある一定期間にわたってカラダの特定の部分(手足や腰など)に冷えを自覚し、不快感を覚えたり、苦痛を感じたりすること。食の対策としては、基本的には温め食材を使った温かいお料理をいただくことになりますが、きちんと原因を探り、それに応じたものをプラスすると効果的です。
冷え症の原因は5つ。1つ目は薄着や、冷たいものの食べ過ぎや飲み過ぎなど、長年の生活習慣で知らず知らずに冷え症になっているパターン。キンキンに冷えていなくても生ものもカラダを冷やします。年中出回っている夏野菜を使ったお料理も要注意です。
2つ目はそんな冷たいものの飲食で胃腸を傷め、水分代謝が悪くなってカラダに余分な水分が溜まってしまっている状態。余分な水分は冷えにつながります。
3つ目はストレスによる気の滞り、また血行不良によるもの。この場合、顔はほてってのぼせているのに足が冷える…といった冷えのぼせになります。
4つ目は慢性疾患や体力の低下などで気や血が足りない場合。言葉を変えて睡眠不足や過労と聞けば思いあたるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
最後の5つ目は、多くはご高齢のかたに当てはまるのですが、胃腸が弱く、エネルギーの燃焼効率が悪いことによる低体温。腎にも及んでからだを温める力が足りず、芯から冷える状態です。
あなたは、どのタイプにあてはまりますか?タイプ1なら生活習慣を改め、温かいものを召し上がってください。タイプ2には生姜など特に胃腸を温めるものを使い、旬の白菜などむくみを取るようなものをプラスしてください。タイプ3には気血の巡りをよくするもの、タイプ4には気血を補うもの、タイプ5にはさらに腎を補うものをプラスします。
今回ご紹介する1皿目は『酒粕シチュー』。ニラ、くるみ、酒粕などの温め食材がポイントのこのお料理は万能で、1~5のすべてのタイプにオススメです。すりつぶしたくるみや豆乳が入り、酒粕が苦手なかたにも好評です。
2皿目の『牛肉と青梗菜の酢醤油炒め』はタイプ3、4のかたにオススメ。タイプ3は少し複雑で、バランスが悪くなっていて、ただ冷えているというわけではありません。やみくもに温めるのではなく、のぼせ対策として旬の大根や白菜も活用してください。また、ゆずや陳皮(温州ミカンの皮を干した生薬)など柑橘の皮を加えると気を巡らせます。陳皮はぜひ自家製を。この時期に無農薬のみかんを買い込んで皮を干し、冷凍保存すると一年中使えて便利です。(撮影=安井真喜子)
酒粕シチュー
材料2人分
ベーコンブロック | 80g |
ニンジン | 小1本 |
山芋 | 150g(直径5cm×7cmくらい) |
ぺコロス | 8個 |
にら | 1/4束(30gくらい) |
くるみ | 30g |
酒粕 | 60g |
塩 | 小さじ1/2 |
みそ | 小さじ1/2 |
こしょう | 適量(多めに) |
豆乳 | 150cc |
EXVオリーブオイル | 小さじ1 |
作り方
① 酒粕は指先でつぶすように細かくちぎって60ccの水に漬けてふやかしておく。くるみはローストしておく。ベーコンは1cm角の棒状に、にんじん、山芋は1口大に切っておく。にらは3cm長さに切っておく。
② 厚手の鍋にオリーブオイルを熱し、ベーコンをじっくりと炒める。
③ ②ににんじん、ペコロスを加えて炒め、水300ccを加えて煮る。
④ ①のくるみをすり鉢ですり、酒粕を加えてなめらかにすり混ぜる。(またフードプロセッサーにかける)
⑤ ③のにんじん、ペコロスが8割方柔らかくなったら山芋と④を加えてさらに煮る。
⑥ ⑤ににらを加え、すべての具材が柔らかくなったら豆乳を加えて温め、塩、みそ、こしょうで味を調える。
注意●豆乳は煮込むと分離するので、軽く温める程度にとどめること。
牛肉と青梗菜の酢醤油炒め
材料2人分
牛肉(ももスライス、切り落とし) | 200g |
青梗菜 | 3株 |
酒 | 大さじ1 |
酢 | 大さじ3 |
醤油 | 大さじ2 |
太白ごま油(菜種油、サラダ油可) | 大さじ1 |
輪切り唐辛子 | 少々 |
作り方
① 牛肉は4cm幅に切る。青梗菜は、茎は縦に8等分に切り、葉は4cm幅に切る。
② フライパンに太白ごま油と輪切り唐辛子を熱し、牛肉、青梗菜の茎を入れて炒め、酒、酢、醤油を加える。火が通ったら葉を加えてさっと炒め、火から下ろし、器に盛る。