最近ではあまり五月病という言葉も耳にしなくなりましたが、新しい生活が始まったり、環境が変わったりしてワクワクするような気分を味わう反面、緊張する場面も多々あって、この時期は何かとストレスを感じる方も多いのではないでしょうか。
中医学でからだを作る基本となる3つの要素~気・血・水(こちらはまたの機会にご説明します)。いずれも必要量がスムーズに巡っていることが良い状態なのですが、ストレスによってこの重要な要素の1つ、気の巡りが滞ってしまいます。3つのうちのどれか1つが滞ることによって、他が滞ってしまうことさえあるので一大事です。そこで滞った気を巡らせ、ストレスによるイライラを鎮めるレシピ2つをご紹介します。
まずは「いちご、うど、クレソンのサラダ」。こちらは五臓六腑の中で一番ストレスに弱い肝を助け、イライラを鎮めるレシピ。肝はのびのびした状態を好むので、ストレスの影響をとても受けやすい臓器です。肝に働きかける食材ばかりを組み合わせましたが、特にクレソンにイライラ抑制効果があります。ドレッシングに粒マスタードを使って、そのピリっと感でさらに巡りもよくします。いつも薬膳的効能を考えて食材選びをするのですが、旬の食材はちょうどその時期に必要なものであることが多い気がします。パワフルですし、お求めやすい価格でもあるのでたっぷりいただきたいですね。
そして「鯛のソテー ローズマリー風味のグレープフルーツソース」。鯛はアンチエイジングにもよいのですが、ストレスで傷めがちな胃腸を労わる食材なので今回のメインディッシュに選びました。爽やかな香りでしっかりと気を巡らせる食材がグレープフルーツとローズマリーです。気の巡りをよくする食材は他にもいろいろとありますが、基本的にはハーブや柑橘など香りのよいものが効果を発揮します。独特の香りのせいで苦手なかたもいらっしゃいますが、玉ねぎやピーマンなどもよいですね。
特に私がオススメしたいのはフェンネルシード。小茴香(しょうういきょう)という生薬にもなるスパイスです。残念ながらそのパワーはあまり知られていません。たいていのスーパーで見かけるのですが、手に取るかたはあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。フェンネルシードはからだを温め、アンチエイジング、気の巡り、また食欲増進とたくさんの効果が見込まれます。
また、私は毎朝紅茶をいただくのですが、真冬の寒さが厳しい時期は生姜のスライス、それ以外の季節はティーポットにスプーン1杯のフェンネルシードをブレンドしています。ほんのりと独特の甘い香りが加わってとても美味しいです。もちろん今回のレシピにも応用できます。その際に使いやすいのがフェンネルシードパウダー。グレープフルーツソースに少量を振り入れたり、サラダのドレッシングに振り入れたり。味に複雑さも加わって美味しさも増しますし、効果もアップします。薬膳はバランスを大事にします。からだに良いからと言ってそればかりを摂るのはNG。気軽に、そして適度に取り入れていただけたらと思います。(撮影=安井真喜子)
●いちご、うど、クレソンのサラダ
材料(2人分)
いちご | (大きさにより)6~10個 |
うど | 1/4本 |
クレソン | 1/2束 |
粒マスタード | 小さじ1/2 |
塩 | 1つまみ |
A:こしょう | 少々 |
A:白ワインビネガー | 小さじ1 |
A:EVオリーブオイル | 小さじ1 |
A:はちみつ | 小さじ1/4 |
A:酢 | 小さじ1 |
作り方
- いちごは、大きいものは食べやすい大きさに切る。うどは厚めに皮をむき、4cm長さの短冊切りにして酢水にさらす。クレソンは食べやすい大きさにちぎる。
- ドレッシングを作る。ボウルにAを合わせ、よく混ぜ合わせる。
- 1.の水気をよく切って2.で和え、器に盛る。
●鯛のソテーローズマリー風味のグレープフルーツソース
材料(2人分)
鯛 切り身 | 2切れ |
酒 | 適量 |
A:ピンクグレープフルーツ | 1/2個 |
A:ローズマリー | みじん切り少々 |
A:白ワイン | 大さじ2 |
A:塩 | ひとつまみ |
A:こしょう | 少量 |
A:はちみつ | 小さじ1/2(白ワインが甘口の場合は不要) |
EVオリーブオイル | 小さじ1 |
コーンスターチ | 小さじ1/4 |
ローズマリー | 2枝 |
塩、こしょう、EVオリーブオイル | 適量 |
作り方
- 鯛は皮に切れ目を入れ、酒を含ませたペーパータオルで表面をふいておく。
- ソースを作る。Aすべてを小鍋に入れて火にかけ、煮立ったら同量の水で溶いたコーンスターチを加え、とろみをつける。
- フライパンにEVオリーブオイルを入れて熱し、ローズマリーと塩こしょうをふった鯛を入れ、こんがりとソテーする。
- 器に2.のソースを注ぎ、3.の鯛を盛り、ローズマリーを添える。