澄み渡る青空、眩しいゴールデンイエローに染まる木々の紅葉が山を埋めつくす。コロラドの秋の紅葉は、言葉にならないほど美しい。10月の初旬、紅葉を楽しみにアスペン(Aspen)の街へやって来た。例年なら9月後半に見ごろを迎えるアスペンの紅葉が、今年は、例年より少し遅いと噂されていたので、私たちが訪れた時は、ちょうど見ごろを迎えていた。
秋のコロラドは、私がいちばん好きな季節かもしれない。そして嬉しいことにコロラドの紅葉の時期は思いのほか長い。標高の違いによって、山の紅葉は9月の中旬から始まり、街では11月初旬まで楽しめてしまう。コロラドで見られる紅葉のほとんどは、これもまた“アスペン”と呼ばれる木。日本語では、ヤマナラシやポプラと同じで、風でヒラヒラとなびく黄金色の木の葉がとても可愛らしい。
アスペンの街は、スノーマスというセレブが集う事でも有名な高級スキーリゾートと隣接しているので、冬はスキーリゾートとして、夏は避暑地として、コロラド人のみならず世界中から人が集まる人気のスポット。紅葉が見ごろを迎える季節は、ハイキングやマウンテンバイク、ロッククライミングをしに山へやってくる人でも賑わう。この季節、アスペンを訪れたらマルーン ベルズへも絶対に足をのばしたい。
マルーン ベルズは、マルーン ピークとノース マルーンと呼ばれるエルク マウンテンの2つの霊峰からなる標高約4,317mのロッキー マウンテン。アスペンから山の麓にたたずむマルーン レイクまでは、車で約20分、車を止めてトレイル沿いに歩いて行くと、目の前に透き通った湖が広がる。それを囲むようにそびえ立つマルーン ベルズが、湖面にその雄大な姿を映す。思わず足を止めて、その美しい光景に魅かれていく。まるで絵ハガキの世界にいるような景色だ。
この優美なマルーン ベルズを眺めるハイキングは、マルーン レイクを一周するファミリートレイルと、その先のクレーター レイクまで行くトレイルがある。どちらもビギナートレイルなので、ファミリーで気軽に歩けるのがうれしい。雪をかぶったマルーン ベルズを眺めながら、青く澄みきった秋の空に映える黄金色のアスペンと鮮やかな緑のスプルース(トウヒ)の森林の中を歩く。リスやシカなど小さな野生動物に出会うのも珍しい事ではなく、ありのままの自然の美しさ楽しめるのは、なによりも贅沢だ。
ハイキングを楽しんだ後は、アスペンの街へ戻ってリラックス。チャーミングなアスペンのダウンタウンには、ハイエンドなレストランからローカルのアメリカン・バーまでチョイスは様々。ショップには、スキーリゾートならではのスタイリッシュな冬のアウターやブーツが並ぶ。
街を少し散策したら、街並を楽しみながらアウトサイド テラスで冷えたコロラド ビールを片手にのどかな昼下がりを過ごす。マルーン ベルズの壮大な自然を目の当たりにした余韻を心置きなく楽しむ。心地よい太陽の下で秋風になびくアスペンの落ち葉がまだまだ眩しい、秋の贅沢なひととき。