ミラノのローカルたちに人気のベーカリーを併設したバール『Pandenus』(パンデヌス)。その4店舗の中でもブレラ地区に位置するLa Foppa店は、今やミラネーゼの古くからの嗜み「アペリティーボ」(1915年に遡る、夕食前に数々のアペリティフとともに食前酒を仲間と楽しむ習慣)を語る上で、外せない名スポットとなっていて、いつもお洒落なミラネーゼや子連れファミリーで溢れています。そんなパンデヌスが、店舗の建物上層に、2部屋だけの素敵なB&B『Locanda Pandenus』(ロカンダ・パンデヌス)を、この2月にオープンさせました。
昨年10月末まで開催されたミラノ・エクスポをきっかけに、ミラノには数多くの新たなB&Bやホテルが誕生しましたが、ツーリストが溢れた街にも落ち着きがもどった今、アコモデーションの生き残り合戦が繰り広げられ始めています。そんな中でのB&Bオープンとなりましたが、パンデヌスに怖いものはなさそうです。なぜって、ここにはオーガニック素材とフレッシュフードをキーにした美味しくフレンドリーな食と、アットホームでいてミラノの古き良き歴史とちょっぴりお洒落な空気が存在するのですから。
朝食からディナー、夕方のアペリティーボに加え、休日のブランチに至るまで、365日焼きたてのホームメイドブレッドを自慢にしたプレートの数々と、香ばしいコーヒー、選りすぐりのワインが楽しめる『パンデヌス』は、すぐに下の階に。そこから毎朝届けられる香ばしいコーヒーとクロワッサンの朝食、いつでも楽しめるルームサービス。1階に下りれば、ミラノの今と賑やかな食のムードにすぐさま身を委ねることができる環境は、束の間の休暇を楽しむ旅人、出張中のキャリアたちにとって願ってもないこと。
そして当然『ロカンダ・パンデヌス』の魅力は、空間のインテリアにも及びます。中庭を囲う典型的なミラノ式の建物は、19世紀初頭のリヴァティスタイルのアパルタメント。ミラノの建築スタジオ『MPA architetti』は、その伝統的な構造と意匠を活かし、2つの客室(23㎡と25㎡)をイタリアの職人技とミラノの洗練をミックスさせたモダンなスタイルに蘇らせました。
家具からフック、鏡に至るまで、そのほとんどが職人とクリエイターによるカスタムメイド。
そのこだわりは、『ロカンダ・パンデヌス』の愛称「BED, LOVE & MORE」と刺繍の施された上質なリネン類にまで至っています。飾られたフォトグラフィーも、ミラノベースの人気写真家、パスクアーレ・アッバティスタなどの作品からミラノをイメージするものが選ばれています。
また「Flos」や「Venicem」による名作照明や、「Agape」のバスタブ、「Baxter」のミニテーブルなども錚々たる伊老舗ブランドの顔も覗かせ、デザインとクオリティへの意識の高さを感じさせます。イタリアのものづくりが体感できる客室は、インテリア好きにもたまりません。
ミラノの新旧が心地よくクロスオーバーした『ロカンダ・パンデヌス』は、まるで住人になったかのような気持ちで過ごせる場所。大型ホテルの表面的なサービスや、眠るだけを目的にした「愛」のないB&Bにうんざりした旅人におすすめです。
●Pandenus
Largo La Foppa 5 – Milano
http://www.pandenus.it/en/
●Locanda Pandeus
Largo La Foppa 5 – Milano
http://www.brerapartments.com
客室料金 約200ユーロ (時期により変動)
●MPA architetti
http://www.mpaarchitetti.com