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2016-10-17
昨日より気分のいい空間 by 長井美暁
#13 ただ備えるだけではダメ!防災セットは置き場所が肝心

熊本地震から半年が経ちました。被災地では今も、日々の生活に困難を余儀なくされている方が大勢いらっしゃいます。5年前の東日本大震災の被災地復興も、まだまだ終わりは見えません。

地震国に暮らす私たちは日々の備えが必要不可欠。東日本大震災の後、慌てて防災セットや非常食を用意した方も多かったと思いますが、それなりけりになっていませんか? 非常食の賞味期限は3〜5年が主流なので、お手持ちの中に期限切れのものもあるかもしれません。あるいは、防災セットを常備したけれど、月日の経過とともに収納の奥に追いやってしまっている状態という方もいるでしょう。

地震はいつ何時起こるかわかりませんから、防災セットはすぐに持ち出せる場所に保管しておかないと意味がありません。でも、“いかにも”なものを人目に触れる場所に置いておくのは抵抗があることも事実。そこでオススメしたいのが、「MINIM+AID(ミニメイド)」という防災セットです。

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この防災セットはシンプルな円筒形で、災害時に持ち出しやすいように玄関の傘立てに入れておいたり、コートハンガーに掛けておいたりできます。佐藤オオキさん率いるデザイン事務所nendo(ネンド)と建築金物メーカーの杉田エースがコラボレーションして生まれたもので、外形は直径5.7センチ、長さ58センチとすっきりコンパクトで邪魔になりません。

23左の写真は玄関、右はクローゼット内に保管したときのイメージ。nendoはグラフィックから建築まで幅広くデザインを手がけ、特にプロダクトのデザインでは世界でも有名なメーカーとのコラボレーションも多いデザイン事務所です。photo by Kenichi Sonehara
418,000円(税別)。ケース×中身の色は、シルバー×ブラック、ブラック×グレー、ホワイト×アイボリーの3種。お求めは杉田エースが運営する東京・南青山の「クラブエスタショップ」にて。オンラインショップでも購入可能。http://clubesta.jp

中身は四つに分かれ、地震などの災害が起きてから避難所へ行くまでの身を守る必要最低限のアイテムが収めてあります。01は懐中電灯にもなるランタン、02は常備薬など細々した物を入れておける多目的ケース、03はラジオ。このラジオは手動で充電でき、USBを通してスマートフォンや01のランタンも充電可能。04は筒の中に雨や寒さをしのげるビニール製のポンチョが入っていて、ポンチョを取り出せば筒をコップ代わりに使えます。

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ケースの蓋の裏には自分の存在を知らせて災害時の生存率を高めるホイッスルが付いています。また、ケースの底に隠されたベルトを取り付ければ、肩に掛けて楽に持ち運べます。災害時は道路の状態も通常と違いますから、避難中に両手を空けておけるように、との配慮です。

67杉田エースは、緊急時の非常食としてだけでなく、アウトドアでの活用も視野に入れた長期保存食「イザメシ」も販売。http://izameshi.com

もうひとつご紹介しましょう。こちらは太刀川瑛弼さん率いるデザイン事務所NOSIGNER(ノザイナー)と宮城県仙台市の高進商事が共同開発した防災セット「THE SECOND AID(ザ・セカンド・エイド)」です。白地に赤い文字のパッケージは、いざというときに自分の身を助けてくれる救急箱のイメージからのデザイン。大きさは本棚に収納できるA4サイズ、厚さは約11センチ。縦置きでも安定します。

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この防災セットは、NOSIGNERが東日本大震災の発生から40時間後に立ち上げたwikiサイト「OLIVE(http://www.olive-for.us)」の取り組みを反映し、もしものときに役立つ物と情報が詰まっています。外箱の蓋を開けると、「BOOK」の下に「FOODS」と「GOODS」の二つの箱が収めてあり、それぞれに飲料水や非常食、衛生用品などが入っています。

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10119,504円(税込)。購入方法は http://www.thesecondaid.jp をご覧ください。

wikiサイト「OLIVE」は「生きろ日本」との願いから、「O(日の丸)+ LIVE(生きる)」という意味で名付けられました。このサイトには物資のない被災地で“身の回りの物”から“生きるために役立つ物”をつくるためのアイデアや情報が集まっています。有志により英語、中国語、韓国語にも翻訳され、集合知を利用し、災害時に有効な知識を集めて共有するデータベースとして現在も世界中からアイデアが寄せられています。

wikiサイト「OLIVE」に集まったアイデアは『OLIVE いのちを守るハンドブック』という1冊にもまとまっています。「ザ・セカンド・エイド」に入っているA4サイズの冊子は、その書籍から災害時に必要な情報をさらに抜粋したものです。

12NOSIGNERは「社会や未来により良い変化をもたらすためのデザイン」を理念に掲げ、グラフィック・プロダクト・空間などの領域を超えて活動するデザイン事務所。昨年、東京都が都内の各家庭に配布して話題になった防災ブック『東京防災』のデザインと編集を広告代理店と共同で手がけたことでも知られます。また、「ザ・セカンド・エイド」シリーズには車内積載用の防災セット「CAR EMERGENCY BOX(カーエマージェンシーボックス“カーエマ”)」もあります。http://www.thesecondaid.jp/car/

備えあれば憂いなし、と昔から言いますが、防災セットはただ備えるだけでなく、どこに備えるかが重要。今回ご紹介した二つのセットはその点もよく考えられています。