interior
2015-09-25
昨日より気分のいい空間 by 長井美暁
#03 秋のくつろぎ空間を照明で演出

気づけば日暮れの時間がずいぶん早くなりました。秋の夜長を楽しむためのインテリア・アイテムといえば照明です。今のお住まいには、既に天井直付けのシーリングライトやスポットライト、ダウンライト、あるいは天井から吊るすペンダントライトが設置されているでしょう。それらで明るさは充分かもしれませんが、日々の暮らしをより豊かにするために、テーブルスタンドやフロアスタンドを加えてみませんか?スタンドライトなら大がかりな工事が必要ありませんから、手軽に取り入れられます。

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左・スペイン・サンタ&コール社のフロアスタンド「Cesta」
右・北欧を代表する照明メーカー、レ・クリント社のフロアスタンド「Cache」

人間は日々、太陽の光とともに生きています。太陽が高い位置にある昼間は活動的であるのに対し、太陽が低い位置にある朝方や夕暮れは気持ちがくつろいでいます。この法則を室内に置き換えると、全体を照らすシーリングやペンダントは何かしら活動する時間帯には有効ですが、「くつろぎたいときやくつろぐ部屋では、光の位置を低くするほうがいいですよ」と、一流ブランドの照明や家具の製造販売で知られるYAMAGIWAの方が教えてくれました。

下の写真をご覧ください。点灯する照明の違いで、同じ空間でも、その印象がずいぶん変わります。くつろぐときは天井の照明を消して、低めのスタンドライトを点灯するといいことがおわかりいただけるでしょう。

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上左・昼のあかり(外光との調和)、上右・団欒のあかり(全点灯)、
下左・夕暮れのあかり(外光との調和)、下右・くつろぎのあかり(低い位置の光と間接光、スポットライトの光)

光の高さに加えて、光の色も大切です。太陽が高い位置にある昼間の光は真っ白で、それが上から降り注ぐことで人間を活発にさせます。一方、朝方の光は同じ白でも柔らかく、夕方の光はオレンジ色です。昔からよく言われているように、このオレンジ色の光は人間を穏やかな気持ちにさせます。ですから、くつろぎたいときの光源は白熱灯、もしくは電球色のLEDがオススメ。

お子さんがダイニングで勉強するというご家庭では、勉強時とそれ以外の時間帯で光を切り替えられるように、例えばダウンライトとペンダントライトの二つの器具を設置するといいでしょう。実際にYAMAGIWAのお客さんにも、そういうご家庭は多いそうです。

また、光には光量というものもあり、それを調節できる装置が調光器です。ホテルなどでお使いになったことがあるでしょう。光のシーンを増やしたいなら、調光機能付きの照明1台でそれが可能です。簡単な工事で既存の照明を調光機能付きに変えることもできますし、スタンドライト用のコンセントタイプもあります。注意点は光源が限られることで、白熱灯なら問題ありませんが、LEDなら調光可能なものを選ぶ必要があります。

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スタンドライトの面白い使い方も教えてもらいました。部屋の角はどうしても暗くなりがちですが、ここに光をあてると、部屋が広くなったように感じられます。「天井のダウンライトは明るいけれど、ダウンライトが点灯していない部分は暗くなっています。そこをスタンドライトで照らすと、圧迫感が軽減されます。また、夜になってカーテンを閉めたら、そのカーテンに少し光をあてることも効果的です。少し広く感じるようになりますし、カーテンの柄も楽しめます」。

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左・イタリア・アルテミデ社のスタンドライト「トロメオ」は、手元を照らすだけでなくヘッドを回転させて天井や壁を照らすこともできる万能選手。
右・サンタ&コール社のフロアスタンド「Tripode G5」は、シェードの上下に光が広がり、上方の光は天井を照らして空間の広がりを演出する。

この効果を利用して、YAMAGIWAでは壁を照らすことに特化したフロアスタンドも売っています。オススメはテレビの後ろの壁を明るくする置き方で、「液晶テレビのモニター画面は輝度が高いので、テレビ背後の壁面に光を与えて、明るさの差を小さくしたほうが、目が疲れません」。これはパソコンも同様で、テーブルスタンドでパソコンの背面の壁を照らすといいそうです。

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YAMAGIWAオリジナルの「LED FLOOR」。インテリアの邪魔をしない、シンプルな細身のデザインで、ダイヤルを回して2700〜4300Kの間で色温度を変えることができる。

このように、照明は機能面を満たすものを選びたいところですが、照明の楽しさはなんといってもデザインが豊富にあること。古今東西のさまざまなデザイナーや建築家が手がけた照明は、見ているだけで心が弾みます。光の出方など、照明は実物を見ないとわからないことも多いので、新しい照明がほしいなと思ったら、まずはショールームや専門店に足を運んでみることが一番です。

タリアセン4イメージ
世界的な建築家、フランク・ロイド・ライトがデザインした照明器具をYAMAGIWAが復刻した「TALIESINTMシリーズ」。このシリーズに、寝室などに適したコンパクトタイプが新登場。
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同じく世界的な建築家、ル・コルビュジエがデザインしたブラケット照明をイタリア・ネモ社が復刻。1台で直接光と間接光、2つの光を得ることができる。簡単な取り付け工事が必要。

取材協力:YAMAGIWA
http://www.yamagiwa.co.jp