昨今の雑穀ブームで様々な穀物が手に入るようになりました。健康食料品店をのぞけば実にたくさんの種類が並んでいます。その中で今回私がオススメしたいのは、はと麦。夏にかけて、はと麦茶を愛飲されているかたも多くいらっしゃると思いますが、はと麦そのものを食事に取り入れていらっしゃる方は案外少ないのではないでしょうか?
はと麦は薏苡仁(ヨクイニン)と呼ばれる生薬にもなる食材で、漢方では水いぼを取るのに使われます。化粧品にもヨクイニンエキスとして美肌成分に使われていますが、利尿作用があるのでむくみを取る効果も期待できます。摂りすぎるとカラダを冷やしてしまいますが、この時期に傷めやすい消化器にも働きかけるので、適量をちょこちょこと使っていただくのがオススメです。
硬くて粒が大きいはと麦は、茹でるのに時間がかかります。独特のにおいが気になる人は、しっかりと洗ってください。少し面倒に感じてしまうかもしれませんが、私は買ってきた1袋をまとめて茹でて冷凍します。そしてミネストローネやお味噌汁などのスープに入れたり、サラダに加えたり、挽肉料理のお肉の一部として使っています。もちもちした食感がとても美味しいです。
茹でた後は水気を切って冷凍するのですが、茹で汁はぜひ捨てずに飲んでください。生薬の煎じ汁と同じものですから、捨てるのはもったいない。重湯のようにやさしく滋味深い味わいです。また茹でるときには多めのお水を入れて茹でることもお忘れなく。茹で時間が長いのと、水分を吸って膨らんできますので、思ったよりも水分の減りが早いです。その茹でたはと麦を挽肉代わりに使ったのが「はと麦ととうもろこしの揚げ春巻き」です。とうもろこしやレタスなど、湿を排出する食材と組み合わせました。消化器にも働きかけるとうもろこしは、今回もひげは捨てずに使います。
また湿度の高い梅雨時でも気温が上がってくれば汗もかきます。汗をかくと水分だけでなく、気(エネルギー)も一緒に流れ出てしまいます。「焼き豆腐と牛肉トマトのエスニック煮」は、食欲が落ちてきたかな!?と思った時にあっさりと食べやすく、水分も気も補うお料理です。レモンを搾ってさっぱりと召し上がってください。さらに香菜を加えていただくと消化促進や、発散させて湿を排出する働きもありますし、湿度で滞りがちな気の巡りもよくします。
湿度の高い時季は湿気の多い土地のお料理が美味しく感じられますね。今回はアジアンテイストな2品をご紹介させていただきました。(撮影=安井真喜子)
はと麦ととうもろこしの揚げ春巻き
材料(6本分)
はと麦 | 10g |
とうもろこし(生) | 1本 |
春雨 | 15g |
レタス | 1枚 |
A | |
カレー粉 | 小さじ1 |
甜麺醤 | 大さじ1 |
しょうゆ | 大さじ1 |
塩 | ひとつまみ |
こしょう | 少々 |
EVオリーブオイル | 大さじ1/2 |
春巻きの皮 | 6枚 |
揚げ油 | 適量 |
作り方
① はと麦は水を換えながらよく洗い、たっぷりの水で(沸騰してから)30分ほど茹でる。
② とうもろこしは実を外し、ひげも青い部分は捨てずに粗く刻んでおく。春雨は戻して適当に刻んでおく。レタスは5ミリくらいの千切りにしておく。
③ フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、①のはと麦、②のとうもろこしの実とひげ、春雨を炒め、Aの調味料で味を調えて火から下ろし、②のレタスを混ぜておく。
④ 春巻きの皮に③を6等分してのせて包み、揚げ油を熱してこんがりと揚げる。
焼き豆腐と牛肉、トマトのエスニックなあっさり煮
材料(2人分)
焼き豆腐 | 1丁(380g) |
牛もも肉(スライス) | 80g |
トマト | 1個 |
きゅうり | 1/2本 |
ドライトマト | 1枚 |
酒 | 大さじ1 |
塩 | ひとつまみ |
こしょう | 少々 |
ナンプラー | 大さじ1 |
レモン | 適宜 |
作り方
① 焼き豆腐は軽く水切りし、一口大に切る。牛肉、トマトも一口大に切る。きゅうりは皮をむき、縦半分に切って種を除き、2cm幅に切る。ドライトマトは大きめにちぎっておく。
② フライパンに水150mlと酒、①のドライトマトを入れて火にかける。
③ ②が沸いたら①の焼き豆腐、牛肉、トマトを加え、弱めの中火で煮る。
④ ③に①のきゅうりを加えてひと煮立ちしたら、塩、こしょう、ナンプラーを加え味を調える。
⑤ ④を器に盛り、くし切りにしたレモンを添える。