Milano:ミラノ
2016-05-10
ミラノが一番輝く時!今年も華やかだったデザインウィーク

ミラノがこの街らしく輝く時。それはきっと4月の「ミラノ・デザイン・ウィーク」の時!ファミリーで集う穏やかなパスクワ(復活祭)の休暇を終え、春の訪れを伝えるかのように開幕するのがこの世界最大級の家具インテリアデザインの祭典です。

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この祭典、世界中から厳選された2407もの出展社が集うロー見本市会場での「ミラノ・サローネ」を筆頭に、個々の企業やデザイナーが独自のプレゼンテーションでブランドの世界観とクリエイションの価値をミラノ市内随所で発信する「フオーリ・サローネ」から成り立ち、一年で最もミラノが賑わうイベントです。フオーリでは、ミラノ市もミュージアムや美術館、歴史的名所で数々の特別イベントを仕掛け、ファッションブランドもこぞって建築家やクリエイターたちと組んだ企画やパーティを催すため、業界のプロのみならず一般ツーリスト、ローカルたちも大いに楽しめます。今年の市内のイベント数は、ミラノ市が後援したものだけでも543件も。計1148にも上ったそう。

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業界の方々には説明はご無用ですが、この6日間(今年は4月12日から)では、家具とデザイン、ライフスタイルに関わるトレンドを “体感” することができ、新たな色彩・素材・技術の可能性に出逢うこともできるのです。各ブランドの新作や新鋭クリエイターたちの夢のような仕事、今に生きる職人技はもちろん、センスとクオリティの高い会場構成、プレゼンテーション術も見応えたっぷり。

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近年の傾向、自然回帰や復古調、ニュアンスカラーの台頭、洗練された70s的ムードが今年はさらに強く! それに加えビビッドに感じたのは、より洗練&進化する素材と技術、そしてそこにクロスオーバーする「アート性」と「伝統タッチ」。セラミックやモザイクはより薄く、軽く、あらゆる形状を実現。水まわりはポッテリ感からスマート&ライトな印象に、タイルなどは装飾的なレトロスタイルが新鮮に蘇ったり。写真は、私が一目惚れした「Bottega Nove」からの新作タイル、Plumage。

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ガラスへの挑戦もすごい。さらに遊び心を纏って! 写真はウルキオラによる「Grass Italia」からの作品。

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大理石のカムバックも際立っていました。高価でデリケートな天然大理石に代わる人工大理石やストーン素材もさらに進化し、さらにリアル。そして機能&耐久性アップ&低コスト化され、あらゆるシーンに。トム・ディクソンは、「Caesarstone」社と大理石による4タイプのキッチンダイニングのデザインでレストランを実現。

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シンガポール発の人工大理石ブランド「GEOLUXE」は、深澤直人さんによるインスタレーションを。

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ラグや壁紙、テキスタイルの進化も目を見張ります。印刷や織りの技術に加え染料の発達によって、よりリアルに多様なニュアンスを再現し、マジカルな3D効果をも実現したり・・・。

かつてはインテリアを左右するアーティな存在として、ヨーロッパの内装における大役を担ってきた壁紙やラグですが、つい最近までは一番最後に予算を充てがわれるような隅に追いやられる存在。しかし、オランダ発の「Moooi」やイタリアの新進壁紙ブランド「Wall&Decò」の掟破りのデザインとプレゼンテーションで、ラグや壁紙の存在はかつてのポジションにカムバック。「Moooi」は、新鋭写真家による巨大なプリントを背景に築き上げたシューレアリスムな会場で、躍動感に満ちた色彩とデザインが際立つアート作品のごときシグニチャーカーペットを発表。「Wall&Decò」の壁紙は、40箇所におよぶ展示会場の内装で目にするほどの人気ぶり(サイトをご参考に)!

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テキスタイルがチープだと、どんなに家具が高価であろうとチープな内装になると信じてきた私。大好きな素材でもあるので、とくにアンテナを張っていましたが、今年衝撃を受けたのはモザイクのブランド「シチス」からの新作でした。インスピレーション源はモザイクタイル。その独特の輝きに重なる上品なベルベッドや、まるでタイルを敷きつめたかのようなテクスチャーのクッションの見事なこと!イタリアの職人技と革新する繊維技術の融合、そして何よりイタリアの美意識の高さにうっとり。

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今年のサローネでは、日本ブランドや日本人クリエイターたちの、世界舞台へのさらなる進出に嬉しい気持ちにさせられました。下の写真は今やヨーロッパでのステータスが定着した佐藤オオキ氏率いるデザインスタジオ「nendo」による、マンガからヒントを得てデザインした50客の椅子の個展「50 manga chairs」の様子。

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そして見本市会場のEuro Cucina展に日本で初出展をした「サンワカンパニー」による、日本の美意識を象徴するかのようなミニマムで凛としたキッチン。

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周りきれないほどの展示会を巡り歩きながら、ふと普段は扉が閉ざされたパラッツォに発見する美しい中庭に癒されたりするのもサローネ。展示会場には、普段は踏み込めない歴史的建築物が使われていたり、この時期のみ特別に一般公開する歴史的名所もがあったり。未知のミラノの魅力に出会える機会でもあるんです。

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北イタリアの歴史と伝統を背景に、ジオ・ポンティを始め、マジストレッティやカスティリオーニやといったモダンデザインのマエストロたちの美意識が彩り、そこに新たな時代を表現する彼らの申し子たちが集うデザインキャピタル、ミラノ。是非いつか、この時期のミラノも体験してみて下さい。

http://www.salonemilano.it
http://www.botteganove.it
http://www.designattico.com
http://www.tomdixon.net/eu/
http://moooicarpets.com/news/
http://www.wallanddeco.com
https://www.barovier.com
http://www.nendo.jp