先日、器を求めて信楽方面に出向いた早朝、素晴らしいうろこ雲に遭遇しました。立秋を過ぎてもまだまだ厳しい残暑が続いていますが、秋は確実にやってきているのだと思うと、嬉しくなりますね。確かに空気も少し違ってきたように思いませんか?同じ暑さでも、まとわりつく湿度が少し減ってきたように思います。この先どんどん湿度が減ってきて、“乾燥”が秋の季節の特徴になります。特に日本の太平洋側では、その乾燥は冬まで続きます。ですから、これからの季節は乾燥対策がとても大切になってきます。
皆さんは乾燥がもっともダメージを与えるのは、どの臓器だと思われますか?乾燥してくると急に空咳が出たりするかたもいらっしゃいますが、いちばん影響をうけるのは、五臓では“肺”になります。中医学でいう“肺”は、現代医学でいう肺だけでなく、のど、気管支などの呼吸器、皮膚、粘膜、鼻にも関係する臓器です。皮膚に関係するなんて意外に思われるかもしれませんが、美肌には“肺”を潤すことが重要なのです。
肺を潤す食材は山芋、ナッツ類、百合根、クレソン、春菊、白きくらげ、れんこん、梨、イチジク、アプリコット、柿、りんご、みかん、バナナなど。咳止め効果を兼ねる食材も多いです。今はちょうど梨やイチジクが旬ですね。特に梨は、中国では咳止めシロップとして瓶詰のものが多く出回りますし、芯をくりぬいたところに、咳止めと肺を潤す効果がある川貝母という生薬と氷砂糖(黒糖などの場合もあります)を詰めて蒸したデザートをいただいたりもします。私もそのままいただくだけでなく、お料理にも使います。見た目に地味なのですが、生ハムを添えた梨の白和えは、お出しすると意外な美味しさに好評です。
今回は肺を潤す食材としてれんこん、アプリコット、イチジクを使ったお料理をご紹介します。他には、特に肺に重点的に働きかけるというわけではないのですが、カラダ全体に陰(うるおい)を与える食材を組み合わせました。まずは肺を潤すれんこん、アプリコット、松の実を使ったマリネをご紹介。ドレッシングに使ったはちみつも肺を潤します。食感も楽しいマリネです。
次に焼いたイチジクを添えた、甘酸っぱい豚肉のお料理。甘酒につけるので柔らかくジューシーな仕上がり。とっても簡単で失敗がないので、おもてなしにもオススメです。イチジクをソース代わりに潰してつけて召し上がってください。カラダに潤いを与える豚肉やごまをたっぷり使ったこのメインディッシュは、潤いだけでなく、夏の疲れにも効果的です。
疲労=気が足りない状態では、お肌のターンオーバーがうまくできません。日焼けのあとを早く元に戻すには、きちんと疲れを解消することが大切。乾燥対策とともに気も補って、乾燥本番のシーズンに備えましょう。(撮影=安井真喜子)
れんこんとアプリコット、エリンギのマリネ
材料(2人分)
れんこん | 100g |
ソフトドライアプリコット | 2個 |
エリンギ | 小2本 |
松の実 | 大さじ1/2 |
A | |
はちみつ | 小さじ2 |
白ワインビネガー | 大さじ1 |
塩 | ひとつまみ |
こしょう | 少々 |
EVオリーブオイル | 大さじ1 |
セルフィーユ | 適宜 |
酢 | 適宜 |
作り方
① れんこんは一口大に乱切りして水にさらし、酢を入れた湯でさっと下茹でする。アプリコットはスライスする。エリンギは一口大に切る。松の実はローストしておく。
② ボウルにAを入れてよく混ぜ合わせ、①のアプリコットを加える。
③ フライパンに分量外のEVオリーブオイル(大さじ1/2程度)を入れて熱し、①のれんこん、エリンギに焼き色をつけ、軽く塩(分量外)をふる。
④ ③が熱いうちに②に加え、マリネする。①の松の実も加える。
⑤ ④を器に盛り、あればセルフィーユを添える。
甘酸っぱい豚肉のごまパン粉焼き、焼きイチジク添え
材料(2人分)
豚ロース肉 | 厚めのもの2枚 |
A | |
甘酒 | 100ml |
しょうゆ | 大さじ1 |
塩 | 1つまみ |
B | |
白すりごま | 大さじ2 |
パン粉 | 大さじ1/2 |
ドライタイム | 大さじ1/2 |
こしょう | 少々 |
EVオリーブオイル | 小さじ1 |
イチジク | 1個 |
セルバチコ | 適宜 |
作り方
① 豚肉は筋を切り、包丁の背で少したたく。Aをポリ袋に入れて混ぜ、豚肉を入れて30分ほどマリネする。イチジクは適当な大きさに切る。オーブンを190℃に予熱する。
② ボウルにBを入れてよく混ぜ合わせる。
③ ①の豚肉をオーブン皿に置き、その上に②を均等に広げる。空いたスペースにイチジクも置き、分量外の塩、こしょう、EVオリーブオイル各少々をふり、予熱したオーブンで8分ほど焼く。
④ 器に盛り、あればセルバチコを添える。