freesiaは「やりたいこと」に向かって邁進している人、独立したり起業するなどして目標を実現している人を応援しています。そこで、さまざまなジャンルで活躍する女性のケーススタディをご紹介。同じように「何かをしたい!」と思っている人へのヒントになるといいなと思っています。今回ご紹介するのは、ワイン&チーズ講師の渡邉美洋子さん。基礎知識や薀蓄などを伝授しつつ、何よりもワインやチーズを楽しむひとときの悦びを分かち合うことをメインとした、素敵なサロンを開催しています。好きなことを仕事にしたい方はもちろん、ワインやチーズ好きの方々も注目です!
渡邉さんのご自宅サロンでのワイン会。ワインに合うチーズやお料理についても学べるので、自らホームパーティを催す際に役立つ知識などを身に付けることができます。
自宅のリビングでワインとチーズの教室を運営しています。おうち起業家、サロネーゼとも呼ばれるようです。並行して、企業への出張セミナーや、横浜各所のレストランで、ワイン&チーズと料理を楽しむ会も開催しています。また、独自のワイン倶楽部の主宰をしつつ、受託事業として、横浜山下町「ル・サロン」のワインスクール講師と、同サロンで開催するイベント全般のプロデューズも行っています。
30歳で結婚。33歳の時に夫とともにワインスクールに通い、1996年にワインエキスパートの資格を取得。OLを続けながら、夫婦でワイン仲間と共にワインとフランス旅行を楽しんでいました。転機は2003年。ワインスクールでお世話になった恩師が新しい学校を立ち上げることになり、恵比寿のワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」の開校をサポートすることになったのです。最初は補助のインストラクターから始まり、後に週末のみワイン講師として講座を受け持つようになりました。
OLの仕事は続けながら、2005年にはチーズの学校(ワイン&チーズアカデミー・現在廃校)に入学。フランスでワイナリー巡りをしている時に、現地のレストランで供されるチーズの美味しさ奥深さにハマってしまい、猛勉強して同年チーズプロフェッショナル資格を取得。2007年秋には「レコール・デュ・ヴァン」において、新たにチーズ講座も開講しました。
ワインの勉強を2時間行った後にチーズを愉しむ時間があるのは渡邉さんのクラスの特徴。そこでチーズへの興味を深めていく生徒さんも多いそうです。
2008年春に「エスパスプレジールワイン&チーズサロン」のホームページを開設。週末のワインスクール講師と並行して、広尾のフレンチレストランで開催するお料理付きワイン&チーズ講座を主宰。日曜の昼(月1回)のお楽しみ講座として、毎回14名満席の人気講座となりました。同じ年の秋に、それまでのチーズ普及啓蒙活動が認められ、フランスチーズ鑑評騎士の会「シュヴァリエ・デュ・タストフロマージュ」に推薦され、叙任。フランスチーズを伝え広めたい想いがさらに強くなっていきます。
気が付けば、ワインの勉強を始めた時から15年が経ち、ワインとチーズの美味しさ、学ぶ楽しさを伝える仕事で身を立てていく決心をして、2010年3月に25年間勤めた会社を退職。満を持して、2011年、市営地下鉄阪東橋駅前の自宅サロンで、ワインとチーズの教室「横浜ワイン&チーズサロン エスパスプレジール」を開業しました。
クラスでは毎回テーマ毎に選ばれた6つの銘柄を楽しめます。月一度の講座を2年続ければ、相当な知識が身に付きます。
現在は起業して6年目。月間受講者数150名を超える人気のワインスクールに成長し、1年間の開催講座数は250回を超えています。また、横浜にワインを一緒に楽しむ仲間を増やし、豊かな飲食文化を広げていく目的で「エスパス横浜ワイン倶楽部」を主宰。現在会員は約300名。10月に3周年を迎えます。今年6月には、山下公園前マリンタワーの隣にオープンした「ル・サロン横浜山下町」のプロデューサーに就任。このサロンでのワインスクールおよびその他のイベントの運営も行っています。
そこに足を踏み入れただけで気分が上がってしまう優雅な空間の「ル・サロン横浜山下町」。サロンのオーナーは渡邉さんの現生徒さんご夫妻で、ワインがご縁でこの素敵な空間が実現したそうです。
ワインやチーズの教室なので、しっかりと知識をお伝えすることはもちろん大切なことですが、それ以上に、私の講座に継続していらっしゃる方は、資格や証明書がほしいわけではなくて、月に1回の優雅で楽しく美味しい時間を過ごすためにお越しくださっています。ですので、例えば通常のワインスクールで行われる、ワインのテイスティングコメントを皆の前で発表するなど、ハラハラドキドキする場面はいっさい必要ないと考えています。お一人ずつ質問するのではなく、皆さんとの対話の中で優しく答えを導き出せるようにしています。サロンでは、いかに気持ちよく楽しく受講していただけるかが一番大切なこと。それを常に心掛けています。
渡邉さんのクラスは、試験のための厳しいお勉強ではなく、ワインを味わい、知識を深める楽しさを共有することを目的としています。
毎日好きなことしかしていないので、楽しくて仕方がないです。もっとも嬉しいことは、一つ一つのクラスが楽しく進んで、その日の、名付けて「渡邉美洋子劇場」(笑)の幕が下りたときに、お客様がいらっしゃった時よりも、もっと素敵な笑顔でお帰りになることです。それを拝見しながら「この仕事を選んでよかった」と、何とも言えない喜びを感じています。本当にありがたく幸せなことだと思います。
渡邉さんは会員約300名の「エスパス横浜ワイン倶楽部」も主宰。また年に一回は受験生にまざって、ワインやチーズの講座を受け、常に自らの知識もブラッシュアップし続けています。
住むところがあって、食事ができて、時々お洋服が買えて・・という現在の生活に満足しています。高価な洋服や宝石にはさほど興味がないので、たくさんのお金は必要ありません。ですので、この仕事でも金銭的な数値目標や事業拡大は目標としていません。
サロン名の「エスパスプレジール」は「楽しみの空間」という意味です。ワインとチーズを通して、多くの人に「楽しく美味しいひととき」を過ごしていただきたい。サロンの運営、ワイン講師はそれを実現するための手段のひとつです。
起業して6年間、ずっと走り続けています。これからも、皆さんに求められれば、元気が続く限りサロン運営をしていきたいと思っています。このお仕事は定年がないのが、よいところですね。毎日を楽しく、面白がりながら継続していけたなら、私の小さな力であっても、「世の中にワイン好きチーズ好きの仲間の輪がたくさん生まれていく」と確信しています。それは「喜びの輪」であり、そのたくさんの輪の中で幸せに笑って暮らせればいいなあと思っています。
「ワインを囲み楽しい時間を共有することが、多くの人の人生の悦びにつながれば」というのが、渡邉さんの願いでもあります。
「好きを仕事に」。多くの女性が思い描く夢の一つだと思います。私は大好きなワインとチーズの美味しさ、学ぶ楽しさを伝えたい気持ちが溢れてしまって押さえきれず、この仕事を始めました。でも最初からうまくいったわけではありません。開業してすぐは、たった2名の生徒さまでした。そこから地道に、とにかく諦めずにやり続けてきて今があります。それでもまだ毎月おっかなびっくりで、安定には程遠いものです。でも本当にやりたいこと、挑戦したいことがあったら、人生は一度だけです。「ああすればよかった」と、あとから後悔しないように、ご自分に問いかけてみてください。
ただ、生半可な気持ちで会社を飛び出さないように。世の中はそんなに甘くはありません。私も起業するまではずっとOLをしながら、二足のわらじで活動してきました。でも、不退転の決意を持てたなら、是非一歩を踏み出してみてください。きっと新しい世界が貴女を待っています。
ワイン&チーズ講師。神奈川県横浜市生まれ、横浜育ちのハマっ子。OLとして働きながら、ワインとチーズの専門家としてのキャリアを積み、2011年に起業。「エスパスプレジール(楽しみの空間)ワイン&チーズサロン」を横浜にオープン。2013年10月には会員制の「エスパス横浜ワイン倶楽部」をオープン。サロン以外では、横浜関内のフレンチレストランにおいて、セミナー&お料理&ワイン&チーズの全てを楽しめるスペシャル講座 を年5回ほど開催。今年6月からは「ル・サロン横浜山下町」のプロデューサーに就任。フランスのワイナリーを巡るツアーなども催行している。フランスチーズ鑑評騎士の会シュヴァリエ叙任。JSA認定ワインエキスパート、CPA認定チーズプロフェッショナルの資格を持つ。
●エスパスプレジール
http://www.winecheese.jp/
●ル・サロン横浜山下町
http://lesalon.co.jp/