Shanghai:上海
2015-07-30
絶品!冷麺と焼き小籠包はここで

夏になると無性に冷し中華が食べたくなります。でも、中国ではせん切りのハムやキュウリ、錦糸卵がのった冷し中華は、いくら探せど見つかりません。かわりによく食べられているのが冷麺です。各地に様々な冷麺がありますが、上海冷麺は具と麺が別々に分かれているスタイルが一般的。ゴマダレならぬピーナッツソースがかかり、日本の冷し中華の原型のような雰囲気もあります。ただし、麺を冷水で冷やさないため、生温かくてやわらかい麺が出てきてがっかり、なんてこともしばしば。それでも街を歩いていて「冷面上市(冷麺、はじめました)」の貼り紙を見つけると、思わず扉を開けたくなります。

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上海で冷し中華が食べたくなったら「東泰祥」へ行きます。生煎(ションジエン)という焼き小籠包で有名なお店ですが、暑い季節だけ出している上海冷麺も評判です。このお店では卵を練りこみ、細く平たい形をした麺を使います。最初に蒸籠で蒸してから手早くゆで、少量の油でほぐしながら扇風機で熱をしっかり冷まします。日本の冷し中華のようなキーンとした冷たさやツルッとした食感はないものの、粗熱を丁寧にとった麺は疲れた夏の胃腸にやさしい味わい。ほどよいコシもあります。

タレは酢と醤油、ラー油を調合し、さらに特製のピーナッツソース。くどくなく軽やかで、食欲がわいてきます。具は小皿料理になっていて、青菜炒め、高菜と豚肉の細切り和え、中国麩煮込み、豚肉のスパイシー炒め、三絲(細切り豚肉とモヤシ、ピーマン炒め)など種類豊富。好きなものを組み合わせて自分で麺の上にのせます。麺は2両(約100グラム)で6元(約120円)、具は一皿3~12元。安くておいしくて栄養満点。上海の年配の人が食べたときになつかしさを感じる、昔ながらの味だそうです。

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上海冷麺のお供には錦糸卵が入った穏やかな味わいのスープが定番です。また、私は東泰祥に行くと名物の生煎も必ず一緒にオーダーします。生煎とは煮こごりを混ぜた豚肉餡を饅頭のような小麦粉の皮で包み、鉄鍋で蒸し焼きにした上海生まれの点心。このお店は伝統的な方法で手作りし、ふわっと薄くてやわらかく、底がサクサクに焼かれた皮が自慢です。皮を一口かじって餡からにじみ出るスープをすすり、アツアツの中身を味わいます。1個食べるだけでエネルギーがわいてきます。

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冷麺で胃腸を整えて栄養をとり、生煎でパワーをつける。暑い暑い上海の夏を元気に過ごすための、パワフルなローカルフードです。

●東泰祥 / 上海市黄浦区重慶北路188号