teatime
2015-07-29
心を癒すお茶の時間 by 岩咲ナオコ
#04 冷茶のバリエーションを楽しむ

いよいよ夏到来です。夏のティタイムはやっぱりアイスティで涼やかに過ごしたいもの。でも中国茶もアイスティにして楽しめるの?という声もちらほら聞こえてきそう。本来中国では、身体を冷やすような食べ方や飲み方は避けられてきました。けれども近年、西洋スタイルも入ってくるようになり、アイスティとしての楽しみ方も工夫されるようになってきています。中国茶は種類が多く、香りや味のバリエーションも豊富ですから、作り方次第で様々な味の変化を楽しむことが出来ます。今回は、アイスチャイニーズティの作り方とおすすめのお茶をいくつかご紹介しましょう。

まず、水出しアイスティ。

容器に茶葉を入れ、水を注いで冷蔵庫に入れて一晩置くだけで出来上がりという、誰でも失敗することなく簡単にできる作り方です。水約1リットルの容器に対し、15〜20グラムとやや多めに茶葉を使用します。やや贅沢な量ですが、多めのほうがしっかりと味を引き出すことができますし、冷水からゆっくりと抽出させていくため、渋味が出たり、濃く出たりする心配はありません。そして、使用する水にちょっとこだわってみてください。水の成分や味はお茶の味にダイレクトに影響します。普段よりも軟水の水をつかうと、透明感のある味に仕上がります。

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水出しアイスティにおすすめしたいお茶は、台湾産の文山包種茶と広東省産の鳳凰単叢。文山包種茶は烏龍茶ですが、発酵度が軽いため、緑茶に似たすっきりとした飲み口が特徴です。夏の暑い時期にさっぱり軽やかに楽しみたい人におすすめです。一方、鳳凰単叢は、文山包種茶に比べると、発酵度の高い烏龍茶で、ライチやマスカットなど果実の香りやくちなしやジンジャーフラワーといった華やぎのある香りを持ち、女性中国茶愛好家の間では人気の高い烏龍茶のひとつです。本来、鳳凰単叢はその華やかな香りと同時に、キリリとした渋みもあるのが特徴ですが、水出しにすることで、華やかな香りはそのままで、渋みは抑えられ、まるでフルーツティを飲んでいる感覚を味わえます。アジアントロピカルなティタイムを楽しみたい時におすすめです。

2 水出しアイス鳳凰単叢

続いて氷で作るアイスティ。

適温でお茶を抽出し、氷をはった器に入れ一気に冷却して仕上げるスタンダードな作り方です。ポイントは、少し濃いかなと思うくらいしっかりと抽出すること。普段の抽出時間の2倍から2.5倍くらいの時間をかけて、茶葉の成分をしっかりと抽出しきりましょう。どうしても氷で味が薄まってしまいますから、その分、しっかりと抽出しておくことが大切です。

3.氷出しアイス

氷で作るアイスティは、台湾で作られている金萱紅茶をセレクトしてみました。金萱茶は一般的には烏龍茶として作られており、甘くてミルキーな味わいが特徴です。昨今台湾では紅茶も活発に生産され始め、金萱種を使った紅茶も出てきています。金萱種特有のミルキーな味わいが活かされ、ミルクを入れていないのに飲み口はまるでアイスミルクティを飲んでいる感覚を楽しめます。

4.氷出しアイス3

続いてご紹介する淹れ方はサニーティ。

サニーティとは太陽のエネルギーを借りてつくるアイスティです。水出しアイスティを作る要領で容器に茶葉を入れ、水を注ぎます。その器太陽の下でしばらく置くと、1〜2時間もすればお茶が出来上がります。できれば太陽のエネルギーが上昇している午前中に作るのがおすすめです。出来上がったお茶を氷で割ってお楽しみください。まさに太陽という自然エネルギーの力をいただいて出来上がるエコな作り方です。台湾で生産されている東方美人なら、独特の蜜の香りがやさしくふんわりとした味わいが楽しめます。

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中国茶全般、どの淹れ方でもお楽しみいただけますが、作り方により茶葉中の成分の出方が変わってきますので、味の変化を楽しむこともできます。低温抽出する水出しアイスティは、茶葉成分の旨味成分を形成するアミノ酸(テアニン)が出やすくなるため甘味を感じられる味に仕上がります。比較的アミノ酸成分の多い不発酵や発酵度の低いお茶が適していますが、渋味が出やすいお茶をこの方法で淹れることで、渋味を抑えることができます。

一方、氷で作るアイスティは、適温(高温)でしっかりと出すため、茶葉中のポリフェノール成分が出やすくなり、渋味のあるキリッとしたシャープな印象のお茶に仕上がります。比較的発酵度の高い烏龍茶や紅茶などが適しており、キレのある味わいや、爽快感のあるすっきりとした飲み口を楽しみたい場合におすすめです。

サニーティは水出しと氷出しのいいとこ取りですから、ふんわりとやさしいお茶に仕上がります。

一言でアイスティと言っても、お茶の特徴や好みによって淹れ方を変えることで、バリエーションのある楽しみ方ができますので、是非みなさんのお好みのアイスティをお試し下さいね。