みなさん、こんにちは。春らしい煌めく日を感じられる季節になりました。中国茶はこれからが茶摘みのシーズン。中国茶愛好家にとっては、気候や茶畑の動向をみながら、茶摘みがいつ始まるのか、今か今かと心待ちにしているのがちょうどこの時期です。これからどんどん美味しいお茶が出てくる時期ですが、お茶にあわせて美味しいスイーツも楽しみたいところ。そこで今回は、新しい新茶を待ちわびながら、お茶にあったスイーツをご紹介します。

台湾茶のお茶菓子として人気のスイーツといえばパイナップルケーキ。濃厚なパイナップルジャムをクッキー生地で包んだお菓子は、台湾へ旅行に行ったことのある人なら必ず一度はおみやげに購入された方も多いはず。中でも日本人に最も人気のブランド「微熱山丘（サニーヒルズSunnyHills）」は、日本にいながらにして本場のパイナップルケーキを購入できる直営店。東京メトロの表参道駅から青山方面へつながる静かな路地を入って行くと、ひときわ目立つ木組みの建物が見えてきます。それが「SunnyHills at Minami-Aoyama（サニーヒルズ南青山）」です。2013年にオープンして以来、台湾ファンからの支持を集めています。

お店に入ると受付スタッフが販売＆試食スペースの２階へと案内してくれます。ここでは購入の有無に関わらず、来店者にはパイナップルケーキをふるまってくれます。素朴なクッキー生地に包まれたほどよく酸味のきいたパイナップルジャム。そしてケーキとともにふるまってくれるのは阿里山烏龍茶です。

阿里山烏龍茶は、台湾の中南部、南投県から嘉義県にある標高1000メートル以上の山で作られています。昔から、「高山出好茶（高山では良いお茶がとれる）」と言われ、生育環境のいい山を求めてお茶が作られてきましたが、阿里山烏龍茶もその一つで、豊かな土壌と空気と水が澄んだ阿里山は、上品は花の香りと透明感があり喉越しがまろやかな味の烏龍茶がとれ、多くの日本人の間でも人気を集めています。

ふるまってくれた阿里山烏龍茶は、その期待を裏切らない上質なお茶で、パイナップルケーキとの抜群な相性に感動さえ覚えます。

微熱山丘のパイナップルケーキは、台湾中部南投県で生まれました。このあたりの土壌は南国の太陽が照りつける赤土で、そこにはパイナップル畑が一面に広がっています。ブランドを立ち上げた創業者、許銘仁（マイケル・シュー）氏はこの南投県の出身。長年電子部品メーカーに身をおいてきたマイケルさんは台湾の工業化が進む一方で、原点に立ちかえり、台湾の自然の豊かさをもっと伝えることはできないか？と考えている中で、地元でパイナップル農業を営んでいる友人に出逢い、地元住民の協力を得てブランド化にこぎ着けたそうです。

微熱山丘は自然素材に徹底的にこだわっていることで知られています。パイナップルケーキに使用されているジャムは、台湾原生種パイナップル（土パイナップル）を100%使用しています。本来酸味が強い品種ですが、害虫に強いため農薬を一切使わず、完全無農薬で育てています。ジャムに加工することで酸味がほどよくなり、独特な風味を楽しむことができます。また東京店のパイナップルケーキは、日本人の嗜好に合うよう６～７月に収穫されるやや糖度の高い強いパイナップルを使用し、クッキー生地にはフランスの「エシレ産バター」でしっとりと仕上げているのだとか。

そして、気になる店鋪デザインを手がけたのは、日本を代表する建築家隈研吾氏です。伝統の建築様式「地獄組み」と呼ばれる技法を応用し角材を編み上げ、森の中にいるような空間を演出しています。時折差し込んでくる木漏れ日は居心地良く、ここが都会の中心にいることを忘れさせてくれるかのようなおだやか時間が流れます。これも自然素材にこだわり、台湾の自然を体験してもらいたいという創業者のおもてなしのコンセプトがあらわれているのです。

「これが台灣のおもてなしの心です。台灣を感じに遊びに来てほしい」と広報担当の鈴木氏。自然の恩恵をうけたパイナップルケーキ✕阿里山烏龍茶の組み合わせ。是非、試してみてくださいね。

今日も皆さんにとって美味しい１日となりますように。

●SunnyHills at Minami-Aoyama（サニーヒルズ南青山）
東京都港区南青山3-10-20　電話　03-3408-7778
営業時間：11時～19時
http://www.sunnyhills.co.jp

※この店鋪は、喫茶店ではなく、微熱山丘パイナップルケーキ直売店です。
※店内には長年ホテルオークラで館内装花を担当してきた奥平祥子氏のフラワーアレンジメントも楽しめます