teatime
2015-09-04
心を癒すお茶の時間 by 岩咲ナオコ
#05 色鮮やかな洛神花茶で秋を迎える

猛暑日の続いた日々もひと雨ごとに秋へと向かっていっていますね。ただ、夏の暑さと急激な涼しさの影響で、体調のバランスがとれにくくなっている人も多いのではないでしょうか?今月は、美肌にも効果的な夏から初秋にかけておすすめの洛神花茶(ロウシェンファ茶)をご紹介します。洛神花茶はハイビスカスティの一種で、中国茶の世界では花茶に分類されます。

花茶は大きく分けて二つあります。一つは自然の花をドライにしたもの。中国風ハーブといったところでしょうか。ジャスミンの花や、菊花、金木犀、メイクイ(バラ)などが一般的です。花茶はお茶としての要素ももちろんですが、古来より漢方薬的な役割を担っており、現在でも菊花は目の疲れに効き、ジャスミンは安眠やリラックス効果があり、メイクイはホルモンバランスを整えてくれる民間薬として、しばしば利用されています。

もう一つの花茶は、茶葉に花の香りをつけていくもの。ジャスミン茶はその代表選手です。緑茶や烏龍茶などの本来のお茶の味に花の香りが加わり、贅沢な時間を楽しめます。今回ご紹介する洛神花は前者にあたります。

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洛神花は台湾台東が産地ですが、もともと原産はアフリカ。日本統治時代の1910年に、日本人によってシンガポールを経由して持ち込まれたのだとか。灼熱の太陽の光をあびて、空に向かってエネルギッシュに大きく咲き誇る洛神花は、その健康への効果は高く、特に女性には見逃してほしくないお茶のひとつです。本来はよく夏の時期に飲まれるお茶ですが、作り方次第で、不安定になりがちな秋の初めにもお召し上がりいただくと、体調を整えるのにとても効果的です。

この花にはビタミンCやクエン酸が多く含まれており、美肌効果として夏の間に日に焼けてしまったお肌のリカバリーを期待できる他、疲労回復、解熱などにも効果があります。また暑気当たりや二日酔いなどの回復にも大きな効果があるといわれています。さらに薬効成分として、血管の弾力性を向上させ、血圧の降下作用ももたらします。

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洛神花茶の作り方はとても簡単です。約1.2リットルの水に対し、15粒程度の洛神花を入れ、7〜8分煮込むだけ。色彩鮮やかなお茶が出来上がります。煮込みすぎると、色がくすんでしまいますので、ちょうど良いタイミングで火を止めるのがポイントです。ほどよい酸味が効いて、これだけでもとても美味しいのですが、特に酸味がお好きな人は、レモンを一絞りしてみるとよいでしょう。色もさらに鮮やかになります。

酸味がやや苦手な人は、白砂糖やハチミツなどで甘くしてみてはどうでしょう。漢方では、これから乾燥してくる秋にむけて、酸味と甘味を組み合わせのものをとると(酸甘化陰)、身体の潤いをキープしてくれるようです。また、発砲水やサイダーなどを3分の1程度加えると、軽やかな洛神花ソーダが出来上がります。こちらはちょっとしたパーティのウェルカムティーとしても、華やぎをもたらしてくれる一品です。

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応用編として、デザートにして楽しんでみることもできます。例えば、洛神花茶ゼリー。500ccの水に6〜7粒の洛神花をいれ、約5分程度煮立たせます。砂糖大さじ3〜4匙程度、好みの甘さに調節して火を止めます。その後、ゼラチン10gを溶かしいれて、冷蔵庫で冷やすだけ。杏仁豆腐などのトッピングにしてもとてもおしゃれです。

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どうぞ洛神花茶で身体の調子を整え、より美しい日々をお過ごしくださいね。