広東料理のレストラン「唐宮」の開店イベントに行ってきました。香港のレストラングループが手がけるチェーン店で、上海では15店舗目のオープンとなります。大型旗艦店として商業ビルのワンフロアを使い、広さはなんと3,600平方メートル! 座席数は600もあり、18室の個室も完備。結婚式場としても利用できるそうです。
飲食店が星の数ほどある上海で成功するには、なんといっても立ち上がりが肝心。それだけに開店祝いのキャンペーンも盛大です。オープン初日は来店した人全員に50元(約1000円)分の食事券が2枚入った封筒を配り、ビルの駐車場代も無料。さらに、この日から3カ月間は名物料理の割引などの特典が目白押しです。周辺はオフィスが多く、食事エリアとしてはメジャーとはいえない立地なのですが、600席の店内はあっという間にお客さんでいっぱいに。午後には行列ができていました。
厨房も大変な熱気です。鳩の丸焼きや干しアワビの蒸し物といった広東料理らしい豪快な料理のオーダーが次々と入ります。点心類もこのお店の自慢。チャーシュー入り饅頭やエビ蒸し餃子などの蒸籠がいくつも積み上げられ、もうもうと湯気を立てています。ホールでは料理と中国茶を運ぶスタッフが忙しく行きかい、開店初日からまさにフル回転!
混雑した店内を歩いていたら、レジカウンターの横に関羽像を祀っている一角が目に入りました。三国志に登場する名将・関羽は忠義の人であったことから転じて中国では商売繁盛の神様、財産を安全に守る武財神として崇められています。広東地方の風習にならってセレモニーが行われたようで、像の前には仔豚の丸焼きや鶏、青物、フルーツ、そして大量の生姜のお供え物が捧げられていました。仔豚の背中には大きな中華包丁がどすんと刺さり、関公、さあ召し上がってくださいといわんばかり。生姜は山の形に見立てて盛られ、中国語でいうと「一統江山」、つまり天下を取るといった意味合いがあるそうです。
よく見ると、関羽の隣には何気なく金色の招き猫が鎮座していました。招き猫は日本が発祥。商売繁盛にご利益があるものなら、外国の猫の手も借りたいというところでしょうか。
オープンから半月後に飲茶をしに再び訪れたら、午前11時でも満席でした。ほとんどが地元のお客さんのようで、なかには昼からケーキにロウソクを立てて誕生日を祝う中高年のグループも。まるで昔からあるお店のように、すっかり地域の日常に溶け込んでいます。
開店時の太っ腹なサービスが功を奏したのか、はたまた豪勢なお供えに満足した関羽あるいは招き猫のご利益なのか。上海で商売を成功させたいという本気の願いは、今のところ聞き届けられているようです。
●唐宮 上海匯京店
上海市徐匯区虹橋路777号 匯京国際大厦3F