Brighton:ブライトン
2015-12-11
世界のヘルシー食が何でも揃う店

普段よりちょっとこだわりのある食材や生活用品が欲しいとき、足が向くのが「インフィニティ・フーズ」。ノース・レイン地区のほぼ中心地にあって、いつも大勢のお客さんで賑わっています。ブライトンではいわずと知れたこのオーガニック食品・製品のスーパーマーケットは、じつに1971年創業。この類の店としては、世界的にも早かったのではないでしょうか。ミューズリ、各種の穀物、小麦粉、ナッツ、コメ、ドライフルーツなどは自社製品もつくっていて、今では全国的に卸売りもしているそうです。

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この店のすごいところは、オーガニックだけでなく、世にあるさまざまなヘルシー系の食材がとにかく何でも揃うこと。マクロビだろうがビーガンだろうがグルテンフリーだろうが何でもござれ。とくに昨今はやりのスーパーグレイン(雑穀と呼んでもいいけど)は品数豊富で、スペルト、カムート、キノア、アマランス、チア、ファロ等々、中には「どうやって食べたらいいの?」というものも。小麦アレルギーの方にはタピオカ粉パン、ミルクフリーの方にはヘンプ(麻)ドリンクなど、代替食材にも選択肢があります。

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「肉や牛乳や卵や砂糖がなくても、食を楽しみたい!」という気持ちがみなぎっているような気がします。その執念が、今まで人気のなかった食材を再発見したり、異国の食文化を採り入れたりにつながったのかも。そのおかげで、白味噌、麦味噌、八丁味噌、ゆずこしょうまで買えるから、思えば遠くへ来たもんだ……感慨無量。この店をざっと見ると、ヘルシー食のトレンドが手にとるようにわかるのが本当に面白い。

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ベイカリー併設なので焼きたてのパンもあるし、地元の生産者を中心に生鮮野菜もよいものが揃っています。個人的にはナッツローストとヴェジミンスの品揃えが豊富なのがありがたい。これがあると、お肉を食べ(させ)たくないときに、お腹にたまってしかも野菜っぽくない一品がチャチャっとつくれるから。オーガニック無糖ケチャップも、ケチャラーの幼児をもつ家庭にとって良心の痛みに効くお助けアイテム。さらには食材以外にも、洗剤、石けん、シャンプー、コスメ、フラグランスまで、ナチュラル系製品の棚も充実しています。

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しかし、必要なものをここですべて買うと高くつくので、いい加減に店を出て、角をまがった「インフィニティ・フーズ・キッチン」でお昼にします。ここで友人と合流。彼女はお子さんにグルテンと卵のアレルギーがあって、外食ではいつも本当に苦労しているのだけど、今日は悩まなくてもすみます。

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私が頼んだのはメッゼ(コールドディッシュ)の盛り合わせ。中身は、キノアのサラダ、ファラフェル、フムス、フェタチーズ、オリーブ、ドルマデス(ぶどうの葉っぱで包まれたお米)、ババガヌーシュ(ナスのディップ)、じゃがいも、コールスロー。

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友人の頼んだインド風ターリは、ダール豆のカレー、玄米、ビートの漬け物、ライタ(ヨーグルトサラダ)、コールスロー、じゃがいもとカリフラワーのカレー炒め、ナッツロースト。じつは味付けにたまり醤油(小麦を含まない)が使われていたり、またお酢や豆類の使い方がうまかったりで、メリハリの効いたプラッターに大満足でした。

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インフィニティ・フーズはもともと、1971年にサセックス大学の学生食堂の片隅で、玄米食を提供するカフェとしてスタートしたとか。おそらくは、カウンターカルチャーの洗礼を受けた当時の学生が、興味本位で玄米食べてみた……ところから始まって、けっこううまいじゃん、お腹にたまるしね……でいつのまにかもうすぐ半世紀。その間ずっと、マクロビ、ヴィーガン、○○フリーといった食のトレンドだけでなく、フェアトレード、環境への配慮、エシカルな消費など、消費経済のトレンドにおいてもつねに最先端の価値観を掲げつづけてきたわけです。

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しかも、組織としては協同組合なのだそうです。だから社員は経営者に雇われている立場ではなく、社員同士が対等に会社の経営にものを言える。それなりの規模の中小企業で、完全な独立経営で、この姿勢をつらぬいているのは、とても濃いエートスがあるからだと思います。そしてそれを支持する人も大事。こういう店が町の中心に陣取って賑わっているのって、なんだかいいと思いませんか?

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