Brighton:ブライトン
2016-06-20
フェスティヴァルの季節、今年も子ども向けイベントが充実

5月のブライトンはひときわ華やか。昨年もお伝えしたブライトン・フェスティヴァルが、第50回の節目を迎えました。いつも旬のゲスト・キュレーターをつかまえてくるところが感心なのですが、今年はアーティストでミュージシャン、その他マルチな活動で知られるローリー・アンダーソンが登場。彼女の大きな顔写真が街じゅうにあふれました。しかし、私はやっぱり子ども向けイベントをいくつかご紹介します。

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まずは、ポーランドからやってきた「世界一大きなマリオネット」。ライオン、キリン、ゾウの巨大なあやつり人形は、それぞれ後ろにカートをしたがえていて、カートからにゅ~と伸びるアームからワイヤーで吊される仕掛け。カートに人間が乗ってワイヤーを操作します。最大のキリンは4メートルくらいはあって、ライオンは大きいうえに迫力があるので、見ていて泣きだす子もいました。

この巨大あやつり人形、2012年のリヴァプールの公演がとくに有名で、このときは10メートル以上ある巨大な少女のマリオネットが、街なかを37キロにわたって練り歩いたそうです。ばかばかしくもあり、またこんなことにものすごい労力と才能を注ぎ込むパペッター(と呼んでいいものか? その域を超えている)がいることに脱帽。交通規制なども必要だろうから、街をあげてのスペクタクルになるはず。来年はぜひ巨大少女にブライトンを練り歩いてほしい!

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つぎに、ブラジル人パーカッショニストを中心にした楽団「カタプラフ」の公演。鍋・釜、セメント用バケツに洗濯板、鉄パイプなどなど、ありとあらゆる打楽器(?)をつかった、ノリノリの1時間でした。ものすごいステップで踊りだす子どももいてビックリ。昨年も大好評につき、今年もチケットは売り切れ。早めに買っておいてよかった。

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それからぜひお伝えしたいのが、蒸気機関車ならぬ蒸気ロードローラーによる無料のイベント。道路工事も、昔は蒸気機関でやっていたんですね。地元の版画家がこのイベントために特別に1メートル半くらいの大きな版をおこし、それにインクを塗って紙をのせて路上におき、ロードローラーで刷る(!)というもの。はじめて見る蒸気ローラーは、ピストンの場所がローラーの上についている以外は基本的に蒸気機関車と同じしくみ。後ろには石炭を燃やすファイヤボックスも。ピュッーーーーー!!とものすごい音の汽笛をさせて、白い煙を吐き出すと、ゴゴゴゴオッと版木の上を押していきました。そして紙をはがすと……。

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はじめて見る蒸気ローラーが動いているのを見るだけでも楽しかったし、それで巨大版画を刷るのも、単純なことだけれどむやみに興奮しました。イギリスは産業革命の国ということもあるのか、近代化遺産がけっこうよく保存してあります。このローラーもそうした博物館のひとつ、地元サセックスのアンバリー博物館からやってきました。ただ古いものを展示するだけではなくて、動かせるようにきちんと整備してある。しかも、頭と人材とボランティア精神の使いようで、今では無用の蒸気ローラーでお金をかけずに楽しいアトラクションが実現できることに感心しました。

ほかにも、作家によるワークショップ、各種コンサートにパフォーマンス等々、街のいたるところで毎日なにかが開催されていて、歩いていればイベントにでくわす状態。にぎやかで忙しいフェスティヴァルの季節が今年も終わりました。

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