Colorado:コロラド
2015-09-01
人々を魅了するパイクスピークへ

どんなに忙しい毎日でも、週に1度は必ずトレッキングに出かける私にとって、それはまさしく生活のひとつのエッセンス。そしてこの夏、日頃のトレッキングからもうワンランク上の山に挑戦した。それは14ersだ。北米コルディエラの名で知られ、ドラマチックな隆起を見せるロッキー山脈南部の群峰。コロラドには、標高約14,000フィート(約4,200メートル)を越える山が54峰にわたって連なっているが、登山家たちはそれらを「フォーティーナーズ(14ers)」という愛称で呼び、若者からベテランハイカーまで、多くの人を虜にしている。

1Pikespeak

毎年、14ersへの登山者数は50万人近くに達するという。旦那と私もそんな14ersに挑戦することが、毎年、夏の恒例イベントになっている。54峰すべて制覇を目指したいが、そのいくつかはかなり険しいという噂。

2 trail01

今回目指したのは、Pikes Peak(パイクスピーク)という山。標高約4,300メートル、世界で2番目に訪れる人が多い山でもある。山頂への一般的なアクセスは、ハイキングの他にコグ・レイルウェイという列車、ハイウェイを使って車で登ってくる方法がある。毎年、マラソンイベントやインターナショナル・スピードレースなども開催されることでも有名だ。

3 cog_railway

Pikes Peak登山の当日、6:00am、普段のトレッキングよりも多めの水と食料、衣類をバックパックに詰めてトレイルを出発。朝焼けに背中を押されて、街が色づいてゆくのを眺めながら、力強い1歩1歩を進めて行く。今回のルートは、Barr Trail(バートレイル)というPikes Peakの正面・東サイドのアドバンスコース。片道約21キロ、標高差約2,400メートル。数字だけ並べると嫌気がさしてしまうが、トレイルは、最初と最後を除けば、なだらかで自然を存分に満喫できるコースだ。

4creek4trail02

すぐそばに流れる小川のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾け、トレイルに差し込む木漏れ日を浴びながら歩いて行く。贅沢なほどリラックスでき、同時にエネルギーも沸いてくる。山にはそんな不思議な力がある。今回もたくさんの高山植物や野生の動物にも出会えた。コロラド州の花としても知られるコロンバインは、山頂を目指す私たちを励ましてくれるようだった。

5squirrel5columbine

10:00am、約ハーフ地点のBarr Campというキャンプグラウンドで軽い休憩をとった後、さらに山頂を目指して進んで行く。11:30am、高木が生育できなくなる森林限界線、標高約3,300メートルを越えたあたりから景色がガラッと一転。山頂まであと3マイル。頂上は目の前に見えているのに、トレイルは手強い。もともと標高の高い街に住んでいるので、酸素不足はさほど問題では無いが、ロッキー山脈というだけあって、周囲は大小様々な形の岩が切り立つ。1歩ずつ確実に足を進めて行くが、いくつかはそれらをよじ登るように進むしかない。吹き抜ける山の風が身体の熱を癒してゆく。山頂近くは、真夏でも5℃を下回る程度で所々には雪も残る。そして最後の1マイル、これがとてつもなく長い1マイルだ。しかし、1歩1歩前へ進んで行く。

6trail037summit_view01

1:30pm、山頂到着。心地よい疲れを感じながら目の前に広がる壮大なパノラマに言葉を失ってしまう。達成感に満たされながら、果てしなく続く雄大な光景をただただ眺めていた。

7summit_view02

今回、Pikes Peakを自分の足で登って、多くの人々を惹きつけるこの山の、そしてロッキー山脈の偉大さと魅力を改めて感じた。コロラドの自然の美しさや山から見渡す素晴らしい眺め。14ersこそコロラドハイカー独特の山の楽しみ方なのかもしれない。

8trail06