グレンエリー城のメインゲートをくぐり抜けたその瞬間から、まるで絵画の世界にいるような優雅な空気に包まれる。広大な敷地内には、ゆったりと小川が流れ、手入れの行きとどいた庭園を彩る花々や新緑の豊かなアスペンの並木道が、お城の入り口へとエスコートしてくれる。
コロラド南部に位置する街、コロラドスプリングスのダウンタウンから少し離れた山間に聳えるグレンエリー城郭。その始まりは1871年、ウィリアム・ジャクソン・パーマー将軍が最愛する奥様のために、着工を決意したという。パーマー将軍は、コロラドスプリングの創設者であると同時に、デンバーからメキシコを結ぶ鉄道、リオグランデ鉄道会社の発起人でもあった。建物は古き良きイングランドを思わせるチューダー様式を取り入れた石造り。ダイナミックかつエレガントな城郭は、豊かな緑と自然が織り成す美しい岩々に囲まれ、訪れる人を魅了してしまうパワーがある。
このグレンエリー城のティールームで楽しむ本格的なアフタヌーンティーが地元でも人気。イギリス出身のパーマー婦人が当時、友人を招いてティーを嗜んでいたように、季節に合わせた軽い食事と紅茶をゆったりと味わえる。
この日は、ホタテ貝のセビーチェに始まり、メインはトマトとハーブのミニキッシュ、チーズの盛り合わせ、フルーツサラダとヨーグルトソース。手を付けるのが惜しいほど可愛らしい一口サイズのスウィーツは、ブルーベリーのスコーンにラベンダーとデヴォンシャークリームのトッピング、ストロベリータルト、ライムクッキー。そしてオレンジのスパークリングカクテル。紅茶は、厳選された10種類の中から、異なる2つをポットでサーブしてくれる。ティールームいっぱいに広がる芳醇な紅茶の香りに包まれながら、いつもと違った贅沢な午後のひとときを満喫できる。
ウェディングや季節のイベント、宿泊など、特別な日の演出として利用するのはもちろんだが、なにも気取らず、自然と融合したグレンエリーで優雅な午後のひとときを過ごすのもコロラド流の楽しみ方かもしれない。