Stockholm:ストックホルム
2016-06-22
スウェーデン人も注目、環境にもカラダにも優しいマメ料理

2016年は国連が認定する国際マメ年であることはご存知ですか?マメの栄養素と、その環境に優しい生産プロセスが注目されているようです。そしてここスウェーデンには、マメを使った美味しいメニューを広めようと活躍している一人の女性がいます。ディヴィア・ジャガジア (Divya Jagasia)さんです。ディヴィアさんはニューヨークからストックホルムへ移住して7年。ウプサラ大学で管理栄養士の資格を取得した後、スウェーデン食品メーカーのサルトオ クヴァーン(SALTÅ KVARN)社でメニュー開発と商品PRを担当しています。また、バリーヴェクストアカデミー(Baljväxtakademin)というマメ類の普及・食育を目指すボランティア団体の代表も務めています。

1ディヴィアさん1©Divya Jagasia

マメは鉄分やたんぱく質、アミノ酸などが豊富。だからベジタリアンにとっても理想的な主食になるといいます。が、スウェーデンの多くのレストランで、ベジタリアン向けメニューはリゾットやパスタが主であり、バリエーションに欠けるとのこと。マメを使った美味しいレシピを広めて、ベジタリンが更に外食を楽しめるようにしていきたいとディヴィアさんは話してくれました。

また、マメは環境に優しいという点も魅力。牛肉1kgの生産に必要な水が13000リットルなのに対して、マメ1kg当たりの生産に必要な水は50リットル(国連食糧農業機関より)。同じたんぱく質源を生産するにしても、使用する水量はマメの方が少ないため、環境に与える負荷が抑えられます。そしてマメは土壌を肥沃にする作用があり、同じ畑で栽培している野菜にも良い影響があるという優れもの。国連がマメの消費を推奨する理由もうなずけます。

2マメ

スウェーデンの伝統料理にはエートソッパ (Ärtsoppa)という、えんどう豆たっぷりのスープがあり、サラダに枝豆や黒豆などが使われることはあるものの、マメを毎日の食材として選ぶ消費者はまだ少ないのが現状。それでも、様々な企業の新製品テスト市場に選ばれてきたこの国の人々は、新しいことへの好奇心と、良いものは取り入れていこうとする柔軟性を持ち合わせているようで、「スウェーデンの人達は、新しい食材にオープンで興味を持っているから、マメの正しい調理方法や利点を伝えるのも楽しい」とディヴィアさん。サルトオクヴァーン社の仕事やバリーヴェクストアカデミーの活動を通して、国内各地でワークショップを開いています。最近では企業からも社員向けワークショップの依頼があったそうで、マメはスウェーデン人の間で注目され始めている食材と言えます。

3ワークショップ©Divya Jagasia

二度の海外移住を経験している彼女は、いろいろな文化の調理法を取り入れたグローバルなメニュー作りを目指しています。「日本のお豆腐や納豆、インドネシアのテンペなど、大豆一つをとっても様々な調理法があって、違う食文化から学べることはたくさんあります。私自身も大学で学んだ知識や故郷のインドにおける調理法を取り入れて、スウェーデンの食卓にインスピレーションを与えることが出来たらと思います」

そんな彼女が人気料理番組、「ハルヴ オッタ ホス メイ(Halv åtta hos mig)」への出演を応募したのも、観ている人にインスピレーションを与えられたら、という想いからだったといいます。この番組は、毎週選ばれた4名の料理好きが、それぞれの家で得意料理を振る舞い評価し合うというもの。番組名の「Halv åtta」は「7時半」、「Hos mig」は「私の家で」という意味で毎週夜7時半に放送されています。ディヴィアさんは豆腐を使った生春巻きやレンズ豆のカレーで見事、その週の一番を獲得しました。

4カレー©Divya Jagasia

情熱を持って自分の信じる道を進んでいくディヴィアさん。そんな彼女を突き動かすのは、料理へのこよなき愛と、誰かの役に立ちたいという純粋な想いなのでした。

●国連食糧農業機関・国際マメ年:
http://www.fao.org/japan/portal-sites/pulses-2016/en/
●ディヴィアさんのお料理ブログ:
http://www.shootsandtendrils.com/p/home-page.html
●バリーヴェクストアカデミー
http://www.baljvaxtakademin.se/in-english/
●サルトオ クヴァーン社
http://www.saltakvarn.se