Brighton:ブライトン
2015-06-03
フェスティヴァルの季節

イギリスの春は遅くて、暖かくなるのがほんとうに待ち遠しくなります。それでもようやく太陽が輝き始める5月、街はフェスティヴァルの季節を迎えます。1965年に始まるブライトン・フェスティヴァルは、演劇、アート、文学、コメディから政治ディベートまで、多種多様なイベントが開かれるイングランド最大の芸術祭です。例えばアメリカのアーティスト、ローリー・アンダーソンや、トリップホップの雄トリッキー、そしてカナダの作家マーガレット・アトウッドなど、著名なパフォーマーを迎えて、今年もじつに充実した内容でした。
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今回はおもに子ども向けのプログラムに注目してみます。まずはフェスティヴァルの初日、キックオフとしておこなわれた子どもたちのパレード。ブライトン&ホーブの各小学校から、山車と仮装行列が繰りだして、市内の目抜き通りを歩きます。今年のテーマ「飛ぶもの」に合わせて、蝶やトンボといった昆虫から各種の鳥、飛行機、はては妖精、星、スーパーマンまでモチーフはさまざま。揃いのフェイスペインティングや衣裳で練り歩く子どもたちはとても誇らしげ。4~7歳の小さい子たちなので、仮装姿がとてもかわいいのはいうまでもありません。
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しかし……。ボランティアの親たちも行列に加わっていて、かなりイタイ仮装姿もちらほら。わが家のチビ助もいずれ学校に上がって、この行列に参加する日が来ます。ということは……私自身がイタイ仮装姿をさらす日も近いのかもしれません。明日はわが身、笑ってはいられません。

100を越えるプログラムの中には、子ども向けのものも多数。地元ブライトンの劇団による「Glow」は、3ヵ月から4歳までの幼児向けに特別に企画されたパフォーマンス。内容は、光る風船などを使った照明ワーク、ヴァイオリンの生演奏などの音響効果と、人間の身体表現を組み合わせた前衛的ダンスとでもいえばいいでしょうか。サセックス大学の乳幼児研究所が構成に協力したそうです。
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多くの子が、口を開けてほうけたように見ていました。一方で風船に突進する赤ちゃんもいます。かれらの頭の中を推し量ることはできませんが、きっと何かを感じ取っていたのでしょう。幼児向けのパフォーマンスというと、手遊び歌だったり、かわいい動物が登場する簡単なおはなしがほとんど。幼児の知覚・感覚に訴えかけるこのような表現方法はとてもおもしろいし、もっと開拓してほしいと思います。現状は実験的な要素が強いですが、ビジネスとしてもきちんと成立するようになるかもしれません。
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ほかにも、アフリカの民話をもとにしたお芝居「蚊がブンブンうるさいわけ」を楽しみました。でも、イギリスで大人気の絵本シリーズ「グラッファロ」の著者ジュリア・ドナルドソンの読みがたり会は、チケット売り切れで断念。来年のフェスティヴァルは初動を早くすべしと肝に銘じました。

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