6月の天気のよい日、わが家からほど近い公園に、自転車に乗った人が続々と集まってきました。興味本位でのぞいてみると、いい歳をした大人たちが、ボディペインティングをしたり、バイクに花を飾ったりして、なんだか楽しそうです。今日はブライトンが自転車天国となる一日。それも、裸で。
Naked Bike Ride(裸で自転車に乗ってパレードすること)は、世界的にも大きなイベントになりつつあるようです。イギリス各地でもおこなわれていますが、なかでもブライトンはロンドンに次いで規模が大きく、今年で10年目の開催になるとか。
午後1時、身じたく(?)を整えた裸のサイクリストたちがいっせいに公園をスタート。参加者はなんと1000人を越え、自転車の列はなかなか途切れません。サウンドシステムを積んで走っている強者もいて、お祭り気分を盛り上げてくれます。思わず目を覆いたくなる全裸の人もいれば、水着やタンクトップの人も。見物人も多くて、声援を送ったり、呆れ顔だったりとさまざま。
参加者のひとりに聞くと、「もう、サイコーの気分。たくさんの人が見てくれたし、とっても意義のあることだと思うね。来年もぜったいに参加する」。注意していただきたいのは、彼らは決して裸体をさらすのが目的ではないこと。クルマ優先の社会と、化石燃料による地球環境悪化に抗議し、生身の人間中心の暮らしに立ち返ろうというメッセージが、このイベントの根底にはあります。ヨーロッパでは趣味や健康のためだけでなく、エコな交通手段としても自転車が高く評価されています。ブライトン市内もバイクレーンが整備されているし、自転車通勤の人がめだちます。
ブライトンは、英国王室の別荘があるように、大都市ロンドンから一番近いビーチリゾートとして発展してきました。そのためか、開放的でリベラルな雰囲気が強く、エコロジー、菜食主義、社会還元型ビジネスへの関心がひときわ高い街。Naked Bike Rideが盛り上がるのも当然の土地柄なのです。
サイクリストたちはブライトンの観光名所を颯爽と通り抜け、ビーチに沿って走り、最後は海でひと泳ぎ。組織者側の運営もとても手際よく、大盛況のうちに今年のライドが終了しました。趣旨に賛同するなら決して全裸でなくても構わないので、来年は参加してみてもいいかも、と少しだけ思いました。