Chicago:シカゴ
2016-02-05
現代美術館で和太鼓の公演を堪能

シカゴでアーティストとして大活躍するタツ青木さんが制作する「太鼓レガシー12」と「リダクション3」の公演が、昨年の12月、シカゴ現代美術館で開催された。青木さんは2001年にシカゴトリビューン紙で“この年に活躍したシカゴアン”の一人に選ばれ、2015年は全米ジャズヒーロー賞を受賞し、ジャズマンとして知名度が高いが、実はシカゴ美術大学で映画制作も教えている。音楽家、作曲家、映画家、大学教授など、幅広い分野で活躍する芸術家だ。

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タツ青木さんは1957年東京の四谷生まれ。祖母と母親が営む置屋で生まれ育った。3才から三味線、歌、太鼓、踊りなどの厳しい稽古を始め、4才から芸妓らと宴席で興を添え始めた。思春期に東京の芸術家がたむろする太鼓演劇集団「銀天界」に入団。また母親が台所で聴いていたアメリカのジャズやポップ音楽の影響も受け、アメリカに憧れ、高校卒業後アメリカに到来。シカゴ美術大学で映画制作を学び、修士号まで取った。父親が東京で映画制作の仕事に携わっていたことから、青木さんが8才の頃に8ミリビデオカメラを買ってくれたのを機に、ビデオを撮り始めた。ちょうどシカゴ美術大学には実験映画やアバンギャルド的な映画制作を教える憧れの教授陣がいたため、シカゴを選んだのだそうだ。

シカゴ現代美術館での公演は、青木さんがアートデレクターを務める太鼓グループ「司太鼓」が出演。司太鼓は毎年12月にこの会場で公演し、今回で19年目を迎えた。司太鼓グループは、米中西部で一番大きなコミュニティベースの太鼓グループ。シカゴの感謝祭パレードなどメジャーなイベントからシカゴ公立学校での教育イベントなど、年間150回以上のパフォーマンスをこなしている。

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この公演の2部「リダクション3」ではジャズ、日本舞踊、モダンダンスも組み込み、青木さんの独特の芸術性溢れるダイナミックな演出が披露された。藤間流シカゴの着物が舞台を鮮やかに飾り、東京から招かれた三味線、尺八、鼓の巨匠の方々の素晴らしい邦楽の演奏にも息を飲んだ。

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青木さんは「このように生き生きと芸術活動を続けられるのは、エクスペリメンタルでアバンギャルドな芸術家を激励し、受け入れてくれるシカゴのアート界のお陰」と話した。青木さんによると、シカゴ美術館は保守的なところがあり、もっと自由に芸術活動をのぞむ人たちが、現代美術館を創設したという。

「太鼓レガシー」は2016年で20周年を迎える。ダイナミックな青木さんを支えているのはそのご家族。お子さん3人ともが幼い頃から、父親のもとで太鼓、踊り、三味線などを習っており、この公演でも大活躍した。この芸術一家を支えるのは奥さんで同じ東京出身の幸子さん。今年も司太鼓のますますの活躍が期待される。

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