Chicago:シカゴ
2016-04-07
震災から5年、感動を呼んだ東北とシカゴの子供たちの絆

東日本大震災追悼イベントはシカゴでも毎年行われ、今年は追悼式がシカゴ・カルチャー・センターで3月6日に開催された。被災・復興が5年目という節目を迎えたことを理由に、主催団体のシカゴ姉妹都市インターナショナル(CSCI)大阪委員会は、シカゴのランドマークでもあるこの場所を選んだ。シカゴと大坂は姉妹都市で、CSCI大阪委員会は大坂を中心に日本とシカゴ市の文化経済交流プログラムを促進している。大坂委員長で日本経済新聞社シカゴ支局記者の野毛洋子さんを中心に、昨年の4月よりこの追悼イベントの企画に取りかかり、5年目に相応しい大盛況な式典の実現となった。

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アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されているシカゴ・カルチャーセンターは、シカゴのシャンデリゼ通りと言われているダウンタウンのミシガン通り添いにあり、シカゴの歴史や文化、建築アートの魅力を感じさせる施設。展示場やコンサートホールなどがあり、文化交流や教育アクティビティ、そしてアートの場として多くの市民や観光客の人気を集めている。外観は壮大で威厳があり、豪華で美しい内装は、大理石、モザイク、ステンドグラスなど繊細な装飾が息を飲むような美しさを感じさせる。 式典は世界最大のティファニー作のドームがある3階のプレストン・ブラッドリー・ホールで行われ、観光客を含む約500人が集まった。

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CSCI大阪委員会は、2011年から「絆」をテーマに、在シカゴ日本国総領事館などの団体との共催で震災関連プログラムを開催してきた。今年のテーマは「絆Kizuna 5: Voices of the Youth – 東北の若者とその未来」で、シカゴのMontessorie Language Academyの子供たちが手話付きで「ビリーブ」を日本語で合唱し、 東北の子供たちの収録された合唱や、東北の小中学生の英語ビデオメッセージも放映された。

また、シカゴの子供たちと東北の子供達は昨年の9月より合唱プロジェクトを通して、手紙を交換する交流を始めたほか、英語ビデオメッセージ・プロジェクトには約250人の東北の生徒達が参加。英語でメッセージを考え、スピーチを練習し、スマートフォーンで動画にし、シカゴに送ってくれた。

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主要プログラムとして写真展も開催され、日本経済新聞社所蔵の写真、シカゴ在住の写真家の作品、仙台在住で被災状況を追い続ける宍戸清孝氏の写真などを展示。今回の式典には宍戸さんも参加し、長い間一緒にボランティアとして頑張ってきたプロジェクトメンバーと面会し、シカゴの報道陣のインタビューにも応え、東北の現状を語ってくれるよい機会となった。

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シカゴのメジャーネットワークテレビ局3局のカメラマンも取材に駆けつけ、同日の夜NBCニュース番組で取り上げてくれた。この「絆5」と追悼式はシカゴ日本商工会議所、シカゴ日米協会、ジェトロシカゴ事務所などの共催団体と、多くのボランティアの協力もあり、大盛況に終わった。

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最後に東北の子供たちの動画に合わせて、ボランティアらが震災の歌「花は咲く」を歌った際は、カルチャーセンターの美しいスペースに悲しみと希望を共有する声が響き渡った。歌っているボランティアや会場の出席者の中には目に涙を浮かべている人も少なくなかった。

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このプロジェクトの広報を担当し、福島の桜の聖母学院の藤平明彦先生制作の動画や東北の子供たちのビデオメッセージを繰り返しみて、涙が止まらない日が何日もあった。「絆5」イベントは他にも写真展、東北経済セミナー、自然災害緊急対策についてのパネルディスカッションが行われた。どれもたいへん勉強になり、ボランティアの方々と1年間一緒に頑張り、有意義な経験ができたことに感謝し、また東北地方の復興活動が今後とも着実に進むことを祈念する。

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●シカゴ・カルチャー・センター
http://www.cityofchicago.org/city/en/depts/dca/supp_info/chicago_culturalcenter.html

●絆5プロジェクトについて
http://chicagosistercities.com/Kizuna5

●桜の聖母学院のソング・メッセージ
https://www.youtube.com/watch?v=_CJr9jkJt-U

photos © Nagle Photography