先日、シカゴのダウンタウンで午前中にミーティングがあり、帰りぎわに素敵な レストランが並ぶウエストループのランドルフ通りで同僚とランチをすることにした。ウエストループはニューヨークのソーホと比較されるほどで洒落た店が多く、高級レストランからエスニック料理店など様々な店がある。客層も学生からビジネススーツを着る男性や女性までと幅広い。この日は一番美味しいランチが食べられる店、女性シェフのステファニー・イザードさんが腕を振う店『リトル・ゴート・ダイナー』と迷うことなく決定 。
イザードさんは女性初の全米トップシェフに選ばれた人物。名字のイザードはフランス語でヤギを意味するらしく、店のロゴは可愛いヤギがモチーフとなっている。2010年にボカ・レストラングループと、『ガール・エンド・ザ・ゴート』という高級レストランを共同オープンして以来、テレビ出演、料理本出版、食料品販売など、幅広く手がけ活躍している。この『リトル・ゴート・ダイナー』はイザードさんの2軒目のレストランで、今春には中華料理店『ダック・ダック・ゴート』も同じ界隈にオープンした。
『リトル・ゴート・ダイナー』はシックでカジュアルな内装で、『ガール・エンド・ザ・ゴート』に比べると値段もお手頃。メニューも朝食、ランチ、夜のお酒のおつまみまで充実。特に、キムチ、チキンカツ、チョリソーなどさまざまな食材を、パンケーキやフレンチトーストといった定番朝食メニューに創意的にトッピングしたり、ヤギの肉や豚三枚肉、ベーコンなど肉類を大胆に活かす独特のスタイルで人気を呼んでいる。朝食メニューにはアサリ入りのスパゲティやエビとグリッツの煮込みなどもあり、朝からスパゲティは珍しいと思うのだが、実はこれ、シェフの好物らしい。
エビとグリッツの煮込みを試してみたが、あっさりしていてとても美味しかった。また、ふんわりとしたビスケットパンにバターとブルーベリージャムを塗っていただいたが、自家製焼きたてパンは家ではなかなか味わえないため、これだけでもハッピーな気分になれる。
同僚はチキンカツと目玉焼きをトッピングにするフレンチトーストを選んだ。
イザードさんは旅行や異文化食に関する本を読むのが好きで、そこからヒントを得て新しい料理を創作するという。かつては肉とジャガイモの街と揶揄されていたシカゴで、彼女は今、世界中のエキゾチックな食材を取り入れて、新しい食文化を創っているのだ。
Galdones Photography
メニューにトンカツサンドを目にした時は、日本食も取り入れてくれていることに喜びを感じた。トンカツはシカゴでもウケるはずだという日本通のアメリカ人や日本人は少なくないのだが、実際、トンカツを置いている店はシカゴにはあまりない。新しい食材を果敢に試すシェフとしてのパイオニア精神が、イサードさんからは感じられる。
オープンから話題沸騰の中華料理店『ダック・ダック・ゴート』は予約3ヶ月待ちのため、まだ試していない。イザードさんは中国を旅行して中華料理を勉強したらしいが、彼女独特のクリエイティブな発想で創られる中華料理はどんな味か、早く試してみたいと思う反面、次は日本料理店をオープンして欲しいと密かに願っている。
約3年前、近所のグルメスーパーで本のサイン会をやっていた時に、イザードさんとお話をする機会があった。「日本に旅行したことがあり、日本料理も大好き。また行きたい」と語っていた。是非、もっともっと日本食に触れていただき、日本の食材を使った新しい料理を創作してもらいたい!
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●リトル・ゴート・ダイナー
http://littlegoatchicago.com
●ステファニー・イザード
http://www.stephanieizard.com