Madrid:マドリッド
2016-07-26
ハエン産オリーブオイル&日本酒のマリアージュを堪能

サラマンカ地区で観光客の波に犯されず、居住者の日々の食卓を支えている市場「メルカド・デ・トリホス」。その中に店舗を持つ秀逸なオリーブオイルを集めた「カサ・デ・オリボス」が主宰する夕食会にお呼ばれされたので、ウキウキと出かけてきました。

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スペイン各地でオリーブオイルは生産されていますが、アンダルシア州ハエン産というのはキング・オブ・オイル! 55万ヘクタールに6600万本のオリーブの木というスケールだけを見ても、スペイン国内のみならず、全世界的に重要な産地というのがわかります 。世界のオリーブオイル生産の20%がハエン産というのですから、その規模たるや、想像を絶します。確かに旅行に行っても、ハエン県は「わけいってもわけいってもオリーブ畑」な土地なのです。

一般的に濃い味の料理が多いスペイン国内でも、オイルの好みは「バランスのよいものが好かれています」と、どの業者さんも異口同音に言うのが印象的でした。それでも、ピクアル種は強烈な緑色を発しながら、若いトマトの香りをぷんぷんと香らせ、辛味も苦みもはっきりわかります。日本人の口には強いと感じる味です。

2.Picualia

アルベキーナ種はもう少しマイルド。よくリンゴやバナナといった果物の香りにたとえられる種類です。のどを通るときにピリッとするのは新鮮さゆえ。ちなみにオリーブは2600種も存在するのだそうです。スペインではこの他に、オヒブランカ種、コルニカブラ種というのもよく見かけます。

これだけ毎年気候の変動が激しく、それなのに高品質を保ち続ける努力を思うだけで気が遠くなりそうですが、昨今では、収穫のオリーブの実の選別やオイルを絞るまでのトレーサビリティも、テクノロジーと昔からの知恵の共存でコントロールは完璧。収穫からボトル詰めまで4時間という会社もあります。

3.Bravoreum

そして、今宵のお酒たちは「松竹梅」「松竹梅/豪快」「澪」の3種類。マドリーでは日本酒は和食店以外の場所でもじわじわと浸透しつつあります。日本食材店でも取り扱う日本酒の種類はこの数年で倍増。発泡の日本酒などは飲みやすく、ファンも多いタイプです。今晩は日本酒通というよりは、オイル通が多いので、お酒はスタンダードな種類を揃えた様子。

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さて、お食事のほうですが、生産者それぞれのオリーブオイルと、お酒と赤と白 ワイン(Baigorri)が順々に供されました 。一品目はサバの刺身に、キャラクターの強いピクアル種の「ピクアリア」をたっぷりかけて。こちらはバイゴリの赤ワインで。次にエビのカルパッチョには、海苔とわさびとハエン県バエサ産のまろやかなEVオイル、キンと冷えた発泡の澪を合わせて。海苔の香りがエクストラバージンオイルに絶妙なマッチングです。

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美味しいオイルでないと絶対美味しくならない、トマトとパンの重たく冷たいスープのサルモレホも、日本酒との違和感は全くなし。頂くと口の中にお米の香りが広がって、さらりと口直しになり、濃厚なスープを続けられるという効用でした。コルティホ・ラ・トーレ社のEVオイルとホタテは、ぽちりとお醤油が隠し味になり、これもまた美味。

世界各国のVIPを迎えるインターコンチネンタルの厨房を率いる2人のシェフ、ミゲル・デ・ラ フエンテとフランシスコ・サエスにとっては、日本食材+日本酒+EVオイルというのも朝飯前のコンビネーションなのかもしれません。22時開始のディナーが終わったのは深夜1時30分。みんな次の日は会社だから偉いよなぁ!

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デザートはそれぞれ好きなオイルをスポンジケーキにかけて頂きました。冷たいシャーベットと緑の濃いEVオイルの組み合わせも素敵なハーモニー。料理もお酒とのマリアージュも、無制限のEVオイルの可能性を再確認した夜となりました。

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