Madrid:マドリッド
2015-12-09
各地で発見!絶品スパニッシュ

ヌーベルキュイジーヌの潮流を引いた『アルサック』らの新バスク料理。さらにカタルーニャでフェラン・アドリアを中心に発展していった前衛料理と呼ばれるジャンルも、段々と「古い」言葉になってきました。前衛料理はデグスタシォンと呼ばれるコースで頂き、何十品も出て来て食べ終わるのに2、3時間かかるというのも普通です。市井の小さなバルにまで「おしゃれさ」を伝播させた点で、前衛料理がスペイン料理に与えた影響は本当に大きかったですが、今はその「前衛ブーム」も落ち着き、飲食店は多様化の一途を辿っています。

絵画のように仕上げる料理の数々、素材が何かわからないような造形的なフォルム、ピンセットやビーカー、電気機器が並び、化学実験室のようなキッチン。哲学者や大学教授のような言葉でコンセプトを語るシェフたち。そういう取材も本当に沢山してきました。ひとつの「潮流」ができるとき、そしてそれが世界的にも新しいジャンルであるとき、そこに参加している人たちのパッションと興奮を直に感じられたのは、本当に貴重な機会でした。ところが、それも今や昔。

個人的には前衛料理の刺激にさらされ続けた結果、私が最近求めているのは、フツーのバルや居酒屋での「度肝を抜かれるようなゴーイングマイウェイ」の料理。スペインは各地方の個性が濃く、それぞれの伝統料理が健在していますが、そうした料理の中でも、「知らなかった!」「食べたことない!」というようなディープな驚きを探し求めています。

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大概、街道沿いのタベルナ(居酒屋)や、人口100人もいないぐらいの村落で、ぎゃっと仰天するようなものに出会うことになります。 取材の合間や休日には「なるべく汚いところ」「地味なところ」「トリップアドバイザーに載ってないところ」というような偏屈な定規でいろんなものを試します。驚きの逸品に出会った時の感動はマニアのそれですが、辺境地であることも多いため、もう二度と行けないかも、というのが難点。いくつかインパクトのあったものを写真でご紹介しましょう。

●ソリア県のタベルナ(居酒屋)で前菜に出て来たキャベツ
恐らく、コシド(スペインのポトフ)の中でくたくたに煮込んだキャベツを引き出し、改めてオリーブオイルとにんにくで炒めるという手間がかかっています。離乳食のようですが、滋味深い。

1.キャベツ

●ジローナの山奥の食堂のイカ煮込み
豚肉とイカを赤ワインで煮込んであります。コクからするとチョコレートが隠し味に入っているのかも。カタルーニャでは煮込みにカカオを入れる地域があります。

2.イカの煮込み

●モルシージャ(マドリーの専門店)
通常、お米が入っていたり、焼いて輪切りになったりするものですが、マドリーのレオン州専門店ではこうしてドロドロに中身だけ出して、油とよく交えて出てきます。

3.モルシージャ

●コンスエグラのミガス
スペイン伝統料理の定番で全国で食べられますが、有名なのはラマンチャ地方。古いパンを粉々にし、チョリソ、タマネギなどとオリーブオイルを入れてじっくり炒めた「パンのチャーハン」。

4.ミガス