teatime
2015-06-09
心を癒すお茶の時間 by 岩咲ナオコ
#02 製茶シーズンの台湾で茶藝館へ

爽やかな風が吹き抜け、新緑の麗しい季節ですね。烏龍茶の産地としても知られる台湾は、この時期、製茶シーズンの真っ盛り。お茶愛好家にとっては、ワクワクドキドキしながら新茶を待ち望む季節です。

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台湾ではお茶を楽しむ時間が日常となっています。大切な客や友達が来るとお茶でもてなし、家族が集まればお茶を飲む。今年の新茶が手に入ったとか、珍しいお茶が入ったのでみんなで飲んでみよう、などといったお茶談義はもちろんのこと、普段の生活の中でお茶を楽しむのは日常茶飯事。時にはフォーマルな仕事の打ち合わせでさえも、ゆったりお茶を飲みながら、ということさえあります。一見、楽しくおしゃべりをしているように見えても、重要なビジネス案件がお茶の時間で決まっていくことも少なくありません。台湾人はお茶を通してコミュニケーションの時間をとても大切にしているのです。それは、お茶が喉の渇きを潤すための飲み物としてだけではなく、人と人をつなぐためのツールとして欠かせないものだと認識しているからです。

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さて今、台湾旅行が人気となっています。美味しい台湾料理を堪能したり、熱い日差しの中、マンゴーかき氷を口に頬ばったり、昔懐かしい街をぶらりと散歩するなど、旅の楽しみ方は様々です。そんな合間に台湾茶で一服のひとときを過ごしてみてはいかがでしょう? 台湾式喫茶空間の「茶藝館」では、本格的なスタイルで台湾茶を楽しむことが出来ます。

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台北市内にある老舗茶館「紫藤盧」は、大正末期、台湾がまだ日本統治時代だった頃に建てられた建物を改装したノスタルジックな雰囲気を漂わせる喫茶空間です。1981年にオープンして以来、台湾茶文化の発展に寄与し続けてきた草分け的存在でもあります。ここでは、台湾全土のお茶から大陸のお茶まで厳選されたお茶を100種類以上取り揃えていますが、その数あるお茶の中からいまの時期におすすめしたいお茶は「文山包種茶」です。台北から車で約1時間のところ新北市坪林地区で生産されていて、透き通ったレモングリーンのような美しい湯色をしており、これが烏龍茶の色なのかしら?と目を疑ってしまうほど。口に含むと花のような香りが口いっぱいに広がり、爽快感と旨味がいつまでも口の中を駆け巡ります。

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はじめの1杯は、スタッフが淹れ方を説明しながら出してくれますので、はじめての方でも安心です。2煎目以降は是非ご自分でトライしてみて。本格的な台湾作法を体験できます。何煎もさし湯をしながら、一煎ごとに変化していくお茶の味と香りを味わっていくうちに、きっと台湾茶の奥深い魅力にはまっていくことでしょう。

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古き良き時代を彷彿させてくれるレトロで素朴な空間に身を委ねながらのお茶時間は、まるで時間の流れが止まったかのようです。台湾へおでかけになる方は、いつもの忙しいペースを忘れて台湾時間でゆったりお茶時間を楽しんでみると、新しい出会いや見えていなかった風景を再発見できるかもしれませんね。

紫藤盧
台北市大安区新生南路三段16巷1號
Tel.02-2363-7375 10:00〜23:30年中無休(旧正月以外)