今年の夏もすさまじい暑さです。少しは秋の気配も感じるかな?という季節になりましたが、夏の疲れがたっぷりと体にへばりつき、どこかスッキリしません。そんなときにぜひ訪ねたい、とっておきのお宿があります。場所は山梨県。新宿から中央本線特急あずさ/かいじに乗って90分。駅からお宿までは送迎車で約20分で到着。ブドウや桃畑を眺めながら、たどり着くのが緑に囲まれた『保健農園ホテル フフ山梨』です。
「保健農園?」と思う方もいらっしゃるでしょう。実はここ、病院やクリニック、ケアセンターなどを展開するヘルスケア企業が運営。ですから滞在プログラムなどは専門知識を持った医療スタッフが監修。そして、お食事などは栄養管理士と地元の農家さんたちが一緒になって手がけているのです。周辺には自家栽培の畑、薬草ガーデンが広がり、無農薬野菜を中心とした食材を育てています。というわけで、保健農園という名称になった次第。滞在中は適度な運動と快眠、そしてバランスのとれたおいしい食事を提供。これで、スッキリとリセットして体のメンテナンスを促すというのがモットーです。
滞在の基本は1泊2日、あるいは2泊3日のプランが用意されています。プランには食事と朝、夕方1回ずつの体験プログラムが含まれます。朝ならモーニングヨガ、森の散策など。夕方はバランストレーニング、からだリセットといったメニューが日替わりで登場。私が滞在した日の夕方は無極功という気功と太極拳の原点といわれる中国古来のメソッドをビギナー向けにアレンジしたもので、これがとってもおもしろかった!呼吸を整えながら丹田に意識を集中させて腕、足を基本形で動かしていく。ゆっくりとした動作で激しい運動はいっさいないのに、終了後はかなりの発汗作用でスッキリ。翌日は軽く筋肉痛になるほど。通常、動かすことのない部位にしっかりと効いていたようです。
加えて、私は有料オプションとして自律神経バランス測定を追加。メンタルヘルスに精通したスタッフとのワンバイワンの個別カウンセリング。ライフスタイルチェック、専用器具での計測を行い、交感神経・副交感神経のバランスを確かめます。先生からストレスはあるもののまったく問題なし!と太鼓判(笑)。元気であるというお墨付き、それだけでもモチベーションがアップします。
お楽しみはやっぱり食事。併設のレストランではたっぷりの野菜を中心とした手作り感あるメニューを提供。本当は窓の外に富士山をのぞむロケーションなのですが、この晩はくもり。それでも淡く暮れていく夜の気配を感じながらのディナーはいつもと異なるやすらぎを与えてくれます。
ヘルスコンシャスなリトリートはお酒やコーヒーなど嗜好品は厳禁!という場所も少なくないのですが、こちらはそういうストイックさはなく、あくまでもゲストが心地いいと感じるゆるやかさを可能な限り提供するという姿勢。ということで山梨産のワインも楽しみながら、ゆっくりと自分だけの時間を過ごします。そうそう、天然酵母の自家製パンが危険なほどのおいしさ。ついおかわりをしてしまうのでご注意を。
スッキリと目覚めた翌朝はこれも具だくさんの味噌汁に根菜類などの炊きあわせ、きんぴら、浅漬けなど。無添加の調味料、乾物、発酵食品なども取り入れた山梨産の野菜・食材の旨味とありがたみがじんわりと染み入ります。
客室はそれぞれ広さ、間取りが異なります。建物の前身はバブル期に建てられたリゾートだったとのことですが、どこかブータンの家のようでもあり独特のムード。いい意味で時間を経てなじんだ様子で落ち着きます。ご夫婦やご家族連れで泊まっている方、私のようにおひとりさまも多いそう。ひとりでの滞在もウェルカムなのがうれしい。客室はテレビなし、ネット環境なしなので早めの就寝か、ライブラリーにそろった本を借りて読むなどの過ごし方がおすすめです。
特筆したいのが「森の保健風呂」と呼ばれる大浴場。ジャクジーの外風呂とミスト&ドライサウナが併設された内風呂があり、これがもう最高に気持ちがいい。温泉ではないのですが、里山の空気に抱かれた清潔感あるお風呂は絶品。早朝、夜遅くまで入浴できるのも魅力。客室のアメニティも含めてエコロジカルなナチュラルスキン&ヘアケア商品で知られるパーフェクトポーションで統一されています。
美しい写真集や自然環境・エコ、メンタルヘルス関係などブックディレクターの幅允孝さんセレクトの良書をそろえた暖炉カフェ。晴れていたら周辺の森の散策や、農作業体験など適度な運動と心身をリラックスさせてくれるプログラムや施設。都心からこれほど近いのにぎゅっと濃縮した自然との一体感とあわせて、プチリセットには本当に最適。宿泊料金も良心的なので定期的に自分メンテに利用したいところ。まずは、夏の疲れをいやしに訪れてはいかがでしょう。
●保健農園ホテル フフ山梨
http://fufuyamanashi.jp/