ふと思い立って訪れた岡山県・牛窓は瀬戸内海に面したそれは美しい港町でした。オリーブやレモンが実る温暖な気候、島々が浮かぶ深い青の海から「日本のエーゲ海」と呼ばれているというのも初めて知りました。快晴の天気に恵まれたこともあり高台に位置する観光スポット「牛窓オリーブ園」からの海と町の眺望は感動的な絶景。たしかに地中海やエーゲ海と似かよった開放感ある風景にひとめぼれです。
せっかくなので1泊しようと検索して見つけたのが『ホテルリマーニ』。コンセプトはギリシャのリゾート。牛窓町がギリシャのレスボス島ミティリーニ市と友好姉妹都市であることが理由です。うれしいことに充実内容の女性専用のおひとりさまプランがあり、しかもとてもリーズナブル。これは泊まらないわけにはいきません。
エントランスを入ると飛び込んでくるのはリゾートらしいプールとその後ろには瀬戸内の水平線、両脇にはヨットハーバー。これこそ牛窓の魅力です。ヨットを所有していれば海からチェックインできるというのもリゾートライフらしい優雅さです。
改装されたばかりというロビーラウンジはイタリア製のイスやソファが配され、その奥にはライブラリーと暖炉。さらにその横にはシガーラウンジも。
ゆったりとくつろぎながらアフタヌーンティーや、ハワイ産コナコーヒーを楽しんだり、夕方は極上のサンセットとあわせてバーカウンターでシャンパンを一杯。外国人スタッフが多いので本当にエーゲ海リゾートにいるような気分になります。
客室は贅沢にすべてオーシャンビュー。スタンダードでも40㎡と広く、ひとりなら十分なのですが、女性限定プランでは空き室があればデラックスにアップグレードしてくれるため、この日は最上階5階にあるデラックスルームへ。客室はやや古いスタイルですが今後、改装予定があるとのこと。それでも圧倒的なシービューと絶景のサンセットがのぞめるのですからまったく問題なし。アメニティ、備品も整い、きちんと清掃が行われている点が好印象で快適に滞在できます。
2階には男女別のオーシャンビューの展望浴場があります。温泉ではないのですが、女性用浴場には冬の時期限定で牛窓産のオーガニックなレモンを入れたレモン風呂が用意されています。さわやかなレモンのアロマが気持ちをリフレッシュさせてくれて快適。朝も6~10時の間で利用できるので海を眺めながらの贅沢な朝風呂を堪能。今年中にスパ施設も設ける予定とのことなので再訪する楽しみになりそうです。
おひとりさまプランのハイライトはなんといっても食事です。メインダイニング「ザ・テラス」でギリシャ人シェフによるギリシャ料理のフルコースがサーヴされます。メニューはその日仕入れた食材により内容が変わりますが、ギリシャ風ディップ付きピタパンから始まり前菜、メイン、デザートという流れ。これが予想を超えて豪華な内容。
この晩はサントリーニ(ガーリックバター)、アクロポリス(ほうれん草、フェタチーズ、リコッタチーズ)と名付けられた牛窓産殻つきカキ焼き、渡り蟹のサガナキ(フライパンでのグリル)からメインのラムのスブラキ(串焼き)が登場。鉄分、タウリン豊富なカキは冷え、コレステロール上昇抑制など女性にとって重要な要素が豊富。
また、ラムも脂肪燃焼をうながすカルニチン、鉄分、ビタミンB群が豊富。串焼きは余分な脂が落ちてヘルシーなほか、牛窓産オリーブオイルを使用するのでオレイン酸もたっぷり。プランにはギリシャ産スパークリングワインのハーフボトルが付き、ディナー時にいただくことが可能。スッキリとした口当たりで料理との相性も最高です。
さらにデザートも果物王国・岡山ならでは。メロン、あたご梨、イチゴなど宝石のような旬のフルーツをワゴンサービスでカットしてくれます。その横には女性パティシエが丁寧に作ったケーキ、パイ、ギリシャ風スイーツが並びお好みでチョイス。ひとり旅の憂鬱はディナーにあると思うのですが、この日は外国人スタッフが流ちょうな日本語で話しかけてくるため退屈することはありませんでした。トルコ人のスタッフからは彼のとっておきのトルコのおすすめのリゾートの場所を教えてもらったり、と楽しい時間を過ごすことができました。
翌朝のお楽しみはリゾート自慢の朝食です。「ステーキブレックファスト」、「フィッシャーマンズブレックファスト」、「コンチネンタルブレックファスト」、「リコッタチーズクレープパンケーキ」の4種類から選ぶのですが、私は迷わずスタッフ一押しの「ステーキブレックファスト」を。さらにすべての朝食にシャンパンが付く、シャンパンブレックファストだというのですから泡好きにはたまりません。銘柄はフレッシュな風味の「アヤラ」。そのままでもオレンジジュースに加えてカクテルのミモザにしてもらうこともできます。
朝採れの野菜を使ったサラダのみずみずしさ、ゲストがテーブルに着いてから焼くクロワッサンはフランスで味わうものと遜色ないクオリティ。
そして、メインとなるステーキは熟成牛を使用。岡山県産牛にこだわり、特注で設けられたエイジングルームで45~60日間熟成されたステーキは旨みが凝縮し、噛みしめるほどに味わいが広がりしばし、至福の瞬間を堪能。
パリッと糊のきいた純白のテーブルクロス、ラギオールのカトラリー、そして正統的なホテルサービスをこなすスタッフの柔らかなプロフェッショナリズム。リゾートらしい極上の朝食が忘れられません。
●ホテルリマーニ
http://www.limani.jp/