Madrid:マドリッド
2015-06-30
一体感を楽しむスペインのお祭り

スペインの夏の風物詩として有名な「牛追い祭り」が間もなく開催されます。一生に一度と、この狂喜の祭りを見ようと世界中から50万を越える 人が集まる、まさにクレイジーなお祭りです。国内ではF1レース時並みにあちこちにカメラがしかけられ、祭りの期間はその様子が毎朝放送されています。「今日の牛はミウラですからね、期待できます」「あぁぁ!一頭が群れから外れました!」といった実況中継をつけながら。800mの牛追いコースでは、それを観覧するバルコニーは早くから貸しに出され、 コース内の場所取りは8時スタートの牛追いのために、5時には始まります。この祭りを愛したヘミングウェイは、急カーブの内側を望める角地のホテルの一室から、毎朝牛追いを覗いていたのだとか。

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何がこんなに人を熱くさせるのでしょう?という疑問はやはり一見しないとわからないかもしれません。牛追いで何十年も走り続けている勇者の中には、命がけでこのレースに取り組む人も少なくありません。マラソンやジョギングにおける爽快感に、命をかけたスリルが加わったときの、アドレナリン放出度は並大抵のものではないようです。全コースで牛の前を走り続けることはほぼ不可能。皆それぞれのこだわりのポイントがあって、坂道で勝負を賭ける人、 ゴール近くで決める人など色々。近年は泥酔者など規律を守らない人の参加も禁止され、警察や赤十字班がくまなく点検しているおかげで死者が出ることもほとんどありません。

祭りを取材しているとしみじみ思うのですが、同じ物を着て、同じ時間を共有するという盛り上がりがスペインの祭りには共通しているかも 。牛追い祭りは白の上下に赤いチーフが必須のスタイルですが、逆に普段着を着ていると気恥ずかしいほど街中が同じ格好なのです。

2.牛追いを待つ人

「チュピナソ」と呼ばれる祭りのオープニングの合図には、市役所前に何万人という人々が押し合いへし合い、ワインを飲み合い掛け合い、謳い合い、チーフを出して広場が真っ赤に染まります。「見る人」「見せる人」が分かれている日本のお祭りとは違う一体感。一度体験するのをおすすめします。違う自分を発見すること、うけあいです(笑)。

3.ワインでどんどん染まってゆく

●サン・フェルミン牛追い祭りは7月6日~14日