Nice:ニース
2015-08-01
ハチミツ「シャテニエ」に感動!

「蜂蜜」「はちみつ」「ハチミツ」「83」。いつもどの書き方を使おうか迷います。どれを使ってもしっくりくるからです。「蜂蜜」は濃厚さ、「はちみつ」は丸いやさしさ、「ハチミツ」は芳ばしさ、「83」は割り切れない素数の複雑さ。それぞれの表現にその持ち味が宿っている気がしますが、私がよく使用しているのは「ハチミツ」。その芳ばしい個性が化学反応を起こして、パンとマリアージュしてくれそうだから。

そんな「ハチミツ」が、ヴィシーのホームステイ先にあったのです。瓶のふたを開けた瞬間に、今までかいだことのない複雑な漢方の甘い香り。舐めると舌の奥と鼻腔にまとわりつく軽い“えぐみ”がある。でもそれは、ずっと味わっていたくなる、クセになる“えぐみ”。

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このハチミツ、種類は「シャテニエ」でした。シャテニエは栗の木という意味です。ちなみにシャテニエからは2種類の実がとれます。イガの中に実が1つしか入っていないのがマロン。3つの実に分かれているのがシャテーニュ。マロンの実は食べられない。マロングラッセはシャテーニュで作られている。これ、テストには出ませんが、シャテニエが“栗の木”であることはぜひ覚えておきましょう。

何はともあれこのハチミツ「シャテニエ」を、セーグル(ライ麦パン)に垂らしていただくことに。すると“えぐみ”は、ふわっとシナモンのような芳香に変わり、噛みしめるごとにパンの酸味が個性的な甘味としっとり調和して、スパイスが入った濃厚なケーキのようにおいしくいただけるのでした。独特の漢方の風味はウコンパンにもとってもよく合うことも発見。とにかく今まで味わったことのないハチミツでした。

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すっかり「シャテニエ」の虜となり、毎日「セボン!セボン!(おいしい!おいしい!)」と訴える私を見かねて、マダムがこのハチミツが採れる養蜂場に連れて行ってくれることになりました。場所はヴィシーから北東部100kmほどにあるペレシー・レ・フォルジュの山奥。養蜂家のムッシュは天然無農薬にこだわってひとりで丁寧に作ってらっしゃいました。収穫は8月。将来日本のみなさんのために大量購入したいとお願いしたら、快く承諾いただけました。あっという間に商談成立です。取り急ぎ、この日は家庭用に大量購入。

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以降も各地でいろんな種類のハチミツを味見しましたが、やっぱりあのムッシュの「シャテニエ」がパンに合う。そろそろ収穫の時期です。ムッシュに連絡しなきゃ。