Chicago:シカゴ
2015-07-17
元線路が新たな公共スペースに

今年の6月、工業地帯として繁栄したシカゴ中心部の線路The 606が再生、市の北西部の4つの地区をつなぐ生き生きとした公共スペースとして生まれ変わった。ブルーミングデイル通り沿いにあることから、ブルーミングデイル・トレイルという名称でも親しまれ、ジョギングやウオーキングをしたり、自転車やスクータに乗る人々で賑わう一方、新たな観光の名所の一つにもなっている。
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1990年半ばに廃線となった後に、周辺の住民が再利用運動を始めた。約20年間かけて約4.4キロメートルの緑豊かなリクリエーション・スペースをつくるという壮大なプロジェクトは、2009年に開設したニューヨークの高架空中庭園「ハイライン」からアイディアを得たものだ。ブルーミングデイル通りの近くに住む私にとっては、このThe 606がオープンしたことで、気軽にジョギングや散歩ができるようになった。また小学生の息子は、以前は片道15分かけて徒歩で毎日通学していたが、今は父親と一緒に自転車で信号を心配することなく通学ができるようになった。それゆえ学校の父兄の間でも大好評。ママ達もジョギング用の乳母車を押しながら安心して走っている。
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以前はアパートのビル内にあるジムのトレッドミルで週に数回ジョギングをしていたが、今は自然の空気を吸い、見晴らしの良いシカゴのランドスケープを見ながら走る爽快感を味わっている。10月に開催されるシカゴ・マラソンに向けて練習をするランナーたちに励まされ、気分も高まることもある。ランナー用にトレイルの右脇にゴムが張ってあるので、コンクリートの道に比べると身体を痛める心配が減ることもプラス面だ。
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シカゴはアメリカの都市の中でも人種ラインが一番はっきりしている街と言われている。The 606周辺の4つの地区は白人、黒人、中南米系の人々が住む場所が明確に分かれているが、ここでは人種や貧富の差などを超えたコミュニティが生まれ、笑みを浮かべながら余暇を満喫している利用者を見ているだけで幸せな気分になれる。トレイルの幅が1.5メールほどしかなく、事故を恐れる人々もいるが、生き生きとした新しい生活の場を楽しむシカゴアンが増えたことは本当に喜ばしい。都市に住むアメリカ人の健康思考が生み出したこういった公共のスペースがアメリカ全体に広がる日が来るのでは、という希望も持てる。