南インド・カルナータカ州マンガロール。そこからのどかな田舎町や峠の山道を車で延々と3時間ほど。周囲を森と山に囲まれたまさに隠れ家といえる『ヴィヴァンタ・バイ・タージ・マディケリ、コールグ』に到着します。長時間のドライブで固くなった体をほぐしながらエントランスの階段を上がっていくと、シンメトリーのシャープな建築空間とその先に広がる高原のみずみずしい緑の風景が180度のパノラマで目に飛び込んできます。その絶景はドライブの疲れも忘れてしまうほど圧倒的。はるばる訪れてきたことが報われる瞬間でした。
『ヴィヴァンタ・バイ・タージ・マディケリ、コールグ』の開業は2012年。タージ・マハル・パレスなどインドを代表する名門ホテルを抱えるタージ・ホテルズが手がけるもので、インド屈指のエコリゾートとして誕生しました。リゾートの敷地面積は約22万坪。マディケリ一帯は標高1158メートルという高原で早朝には雲海も発生するようなしっとりとおだやかな気候。そのためインドでは避暑地として知られているようです。ゲストの多くも高原の涼しさを求めた地元インドの富裕層が多く、そこに噂を聞きつけた海外からのゲストがちらほら。まだ日本では知られていないだけに先取り気分も味わえます。
ヴィラスタイルの客室は全63部屋。人里離れた場所とは思えない洗練されたデザインと贅沢なあしらいは、さすがタージブランド。わたしが滞在したのは「プレミアム・インダルジェンス・ルーム」。眺望を楽しむため、大きなガラス張りの窓が全方位的に広がり、ベッドに横になりながら、移ろいゆく時間と風景を堪能。日々のストレスがゆっくりと体から離れていくのを実感します。
そして滞在中の楽しみは、なんといっても本格的なアーユルヴェーダが体験できる「ジヴァ・グランデ・スパ」でのリトリート。南インドはアーユルヴェーダ発祥の地であり、ここでも専門のドクターによる問診、自分の体質にあったメニューをゲストひとりひとりにあわせてプログラムを組んでくれます。その中で印象的だったのが、Gudda Bathというシグネチャートリートメント。腰をかけたままセラピストのハンドストロークを使ったマッサージを受けた後、銅の鍋で温めた湯を全身にかけていくと言うコールグ地方伝統の湯あみ療法です。銅は殺菌作用があり肌にいいと言われ、さらにナツメグ、ターメリックや各種ハーブを混ぜあわせたアーユルヴェーダならではのペーストを塗ったマッサージを受けるためデトックス効果も期待できそう。座っているので適度に覚醒されたまま温かなお湯を体にかけてもらっていると不思議な浮遊感に包まれリラックス効果も。愉悦のスパ体験にまどろむことのなんと幸せなことでしょう。建物に川の石や堆積土を使用、照明にはCFL(コンパクト形蛍光ランプ)とLEDのみを採用するなどゼロエミッションに積極的なリゾートとしてのサスティナブルさも好ましく、美しい環境に溶けあいながら五感を開放する喜びは、語り尽くせません。
ヴィヴァンタ・バイ・タージ・マディケリ、コールグ
http://www.vivantabytaj.com/madikeri-coorg/overview.html