Nice:ニース
2015-08-28
オリーブの収穫を初体験!

オリーブの収穫というと、そのさくらんぼに似た形状から、手摘みする静かな作業をイメージする人も多いのではないでしょうか。真逆です。扇風機のような羽の付いた電動機器を枝の方に差し込んで実をふるい落とすのですが、工事現場のごとく大音量を出します。ですが、不思議とうるさく感じません。パラパラとオリーブの実が落ちる音はとっても心地よく、コンサートの演奏のよう。

オリーブ農園がコンサート会場だとすると、ふるい落とすアントン&ロロ(近隣ファームからの助っ人)はミュージシャン、大音量はミュージック。それを支えるコンサート裏方スタッフがセリーヌとわたし。マダムはプロデューサー、ムッシュはディレクター。

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セリーヌとわたしは、そんなコンサート会場の設営~撤収までを行います。ふるい落とされるオリーブの実を受け止める網の設置、実の回収、網の撤収です。網の設置はオリーブの実が落ちると予想されるところ全てに敷き詰めます。ディレクター(ムッシュ)から山肌、オリーブ以外の木、家の壁、屋根の上、噴水などに、次々に網をかけるように指示が飛びます。作業後、ほぼ山全部を覆っていたことに気付いたのですが、最初にそうと知っていたら、めまいを起こしていたところです。

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網は抱きかかえて運びます。見た目ふわふわなのにとっても重くて重労働。疲れたら、わざとつまづいて網の上に倒れ込み数秒間休憩するという技は2日目に覚えました。網には、めくれないように重石を置きます。重石を運ぶのも重くて苦しいのですが、「ピラミッドを作った人はこんなレベルじゃない」と自分自身を厳しく律して乗り切ったのでした。

網は適当に敷いてはいけません。山肌の傾斜、段差、障害物の配置を計算し、オリーブの実が転がる方向と網の形状を加味して、網を重ねなければなりません。「セリーヌどう思う?」「オッケイ、それでいこう!」。互いの意見の尊重と協力でムッシュも驚くほどのスピードで、網を敷きつめました。

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コンサートのメインイベント、ミュージシャンが演奏している時(実をふるい落としている時)は、ムッシュ、セリーヌ、わたしの三人で、オリーブの実が遠くへ飛んで行かないように網を壁のように建てて、身を呈して守ります。これはミュージシャンを押し寄せる観客から守るスタッフの体制とよく似ています。ちなみにプロデューサーのマダムは遠くからこの光景を見つめています。こうして落ちた実は、一粒残らず拾い集められ、オリーブオイルファンのみなさんにお届けするために製品化されるのです。

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次回は、雨の日に行う製品化の作業とムッシュによるオリーブオイルの試飲会についてご紹介したいと思います。